公益財団法人長崎県産業振興財団が主催する「スタートアップラウンジ」第7回が12月19日「出島交流会館」(長崎市出島町)産業振興支援多目的ホールで行われ、「イジゲン」(大分県大分市)のCEO・鶴岡英明さんが「地方スタートアップのリアル」をテーマに講演を行った。
県外需要の取り込みや新規ビジネスの創造など、可能性を秘めた起業を支援するため2016年から同財団が主催し毎月開催している同イベント。県外から先輩起業家や起業動向に詳しい専門家を招き、講演やディスカッションなどを通して起業マインドの刺激と新しい情報の提供を目指しているという。
大分市出身、35歳の鶴岡さんは、大学中退後、父の会社の手伝いをした後、福岡のIT企業に就職したが退職。その後、フリーランスとして独立したのち、「イジゲン」を個人事業として立ち上げ、2013年に法人化。現在は、月額課金制サービス「サブスクリプション」プラットフォーム「SEAT」の開発を行っている。
「サブスクリプション」で企業は安定的に固定収入を得て、リピーターを確保することができる一方、サービスを受ける側は支払いを一元化でき、「食べ放題」「使い放題」のような形でサービスを受けることができる。「SEAT」は現在、地元大分で試験運用が行い好評を得ているといい、来年2月には全国での実証実験を行う予定なのだという。
鶴岡さんは講演で、手がけてきたIoTサービスのことや、創業時に月3万円で借りた物件に断熱材がなく夏場は40度にも達したことなど、苦労話を織り交ぜながらスタートアップの経緯について語り、「不満や絶望といった負の感情をバネにしてこそ夢がある。大分には絶望と隣り合わせで夢がある」と同じ地方都市である長崎で起業を目指す来場者へエールを送って締めくくった。来場者の一人は「若さだけでなく柔軟性に舌を巻いた」と感想を話した。