稲佐山公園(長崎市淵町)で6月2日、測量体験イベント「稲佐山の地形をはかろう」が開催され、長崎市近郊の親子46人が参加した。主催は「噂(うわさ)の土木応援チームデミーとマツ」と長崎県測量設計コンサルタンツ協会。
噂の土木応援チームデミーとマツは、長崎大学で技術職員を務める出水享さんと、共同技術コンサルタント福岡支店長の松永昭吾さんの2人で結成したユニット。共に工学博士で土木技術者でもあることから、土木の大切さや魅力を広く伝えるための活動を行っている。
同イベントは6月3日が「測量の日」になっていることから、子どもたちに「測量」という仕事を知ってもらおうと行うもので、昨年に引き続き2回目。
若手の測量技術者が測量の仕事について、デミーとマツが土木の仕事の話や測量が土木の仕事に果たす役割について解説。国土交通省九州地方測量部の阿部誠さんが、日本で初めての実測による日本地図「大日本沿海輿地(かいよち)全図」を完成させた伊能忠敬が、どのようにして歩いて日本地図を完成させたのか、地図の完成度の高さなどを説明した。
測量技術者の指導の下、50メートルの距離を歩いて測る「歩測体験」、実際に測量の仕事で使う機器を使って身長を測る「水準測量体験」、公園内の数十カ所を測り、測ったポイントを結んで絵を描く「平面測量体験」、最新の測量機器を用いて公園から稲佐山展望台までの距離や角度を測る体験などが行われた。タモサンドローンの社長・田本久さんによるドローンのテスト飛行も行われ、ドローンで撮影した稲佐山上空からの長崎港の映像などを専用のゴーグルで見る体験も行われた。
歩測体験では、昨年度50メートルをピタリと当てて優勝した出水琉君(9)が49.6メートルで今年も優勝した。琉君は「陸上をしていて準備運動のときに足を広げる幅がちょうど1メートルだったので、その幅で50回歩いた」と優勝の秘訣(ひけつ)を話す。
イベントに参加した清水陽向君(9)は「日本地図を歩いて作った人の話を聞いてびっくりした。自分では大変すぎてやろうとも思わない。測量機での計測は難しかったけど楽しかった」と感想を話す。
出水さんは「測量の仕事がないと橋や道路、トンネルといった生活を支えるインフラを建設することができない。現在、日本で測量技術者が不足している。参加してくれた子どもたちの中から将来の測量技術者を目指す子がでてくれたらうれしい」と話す。「測量業の認知度向上のためイベントは継続して行っていきたい」とも。