西浦上小学校(長崎市大手町)前の浦上川で現在、約100本のこいのぼりが春風に揺られてはためいている。
同こいのぼり掲揚は今から約35年前、新入生の入学を祝い健やかな成長を願おうと地元住民が始めた。高齢化や自治会の統合再編に伴い現在は西浦上スポーツクラブが中心となって小学校周辺の5つの自治会とともに行い、地域の春の風物詩として訪れる人の目を楽しませている。
毎年入学式前の週末に掲揚を行っている同こいのぼり。一昨年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け中止。昨年は規模を縮小して掲揚を行っていた。今年は4月3日に同クラブや自治会、育友会のメンバーと小学校の教職員らが掲揚作業を行い、川の両岸に渡したロープにこいのぼりを取り付けた。
同クラブ会長の竹林忠士さんによると、1945(昭和20)年8月9日、原爆攻撃を受けた際、爆心地から約1.7キロ近くにあった西浦上小学校では多くの犠牲者が出たという。1982(昭和57)年に発生した長崎大水害でも同校周辺が大きな被害を受け、亡くなった子どももいることから鎮魂の意味を込めこいのぼり掲揚を行っているという。
こいのぼりは子どもが成長して家庭で使われなくなったものを譲り受けて使っている。紫外線や雨風にさらされ毎年1割ほどが使えなくなってしまうことから同クラブでは寄贈も受け付けている。
寄贈についての問い合わせは西浦上スポーツクラブ・竹林さん(TEL 090-3604-5364)で受け付ける。こいのぼり掲揚は5月8日まで。