長崎に原爆が投下された8月9日11時2分に合わせて通知を行うことで黙とうを忘れないようにするためのプロジェクト「8.9 Project」が現在、登録者を募集している。
福岡県福岡市出身で2020年から長崎市の地域おこし協力隊として琴海地区で活動している齊藤秀男さんが立ち上げた。昨年の8月9日に市内の防災無線で黙とうが呼びかけられ、原爆投下時刻に至る所でサイレンが鳴り響くことを知ったことがきっかけ。「この日を決して忘れないためには日常のシーンの中で原爆を思い出すきっかけをつくることが大切」と感じ、LINEで多くの人に知らせることを思い付き、「8.9MokutouReminder」というアカウントを立ち上げた。アカウントを登録すると1年に1度、原爆投下時刻の5分前に案内のメッセージが届く。
長崎市が若者の意見交換の場として設けているコミュニティー「ながさき若者会議」で発表したところ、「原爆投下時刻にサイレンが鳴り、黙とうをすることが長崎の人にとって当たり前ということを知ったと同時に他県出身者からすると驚きだった」という斎藤さん。一方で「原爆のことを忘れたり、風化させたりしてはいけない」という共通認識も感じることができたと振り返り、4人の賛同者が「ギャップを埋めるために取り組みが必要」と手を挙げたことからプロジェクトを立ち上げた。
プロジェクトではデザイナーの山田果林さんが中心となって告知カードを企画。平和の象徴となっている折り鶴にLINEアカウントのQRコードを載せた「黙とう折り紙」に仕上げた。カードは財布に入れて持ち運べるよう、15×7.5センチの大きさにしているという。
齊藤さんは「日常の中で1年に1度、1分だけでも悲惨な歴史があったことを見返すきっかけをつくることが、平和な未来につなげていくために意識のどこかに働きかけるものがあるのでは。登録者数1万人を目標に取り組みを広げていきたい」と意気込みを見せる。
メッセージの送信や告知にかかる費用を現在、クラウドファンディングで募っている。