長崎市内のバー10店舗で1月13日、Z世代に新しい夜の楽しみ方を提案する取り組み「ちる旅ながさき」が始まった。
長崎大学(長崎市片淵4)経済学部の丸山幸宏ゼミで学ぶ3年生の井上理子さん、川原菜摘さん、野口依里さん、山口光太郎さん、山下彩花さんの5人が中心となって企画した。同ゼミでは学生ならではの視点から地域の課題解決研究に取り組んでいる。
ゼミ生らは長崎の観光課題の一つとして、来訪者の滞在時間が短いことに着目。自らと同じ世代のいわゆるZ世代の消費トレンドやニーズを調査し、長崎を訪れたZ世代の満足度向上や滞在消費促進に向けた施策を検討した。市内10店舗のバー事業者や長崎国際観光コンベンション協会の協力の下、「チル(ゆっくり、まったり過ごす)」をテーマにバーでの過ごし方を切り口にしたナイトタイムコンテンツの提供にたどり着いた。
1月12日に行った記者発表で、ゼミ生の井上さんは「長崎の旅で友人や恋人と夜の時間を、よりゆっくり丁寧に、そしておしゃれに」とコンセプトを話す。若者にとって非日常な空間であるバーで味わう長崎ならではのオリジナルカクテルを事業者とともに開発し、期間限定で提供してもらうとともに、その魅力を発信するという。
「Laboratorio di Agio(ラボラトリオ・ディ・アージョ)」(鍛冶屋町)では長崎県産のイチゴやイチゴリキュールをマイナス196度の液体窒素でシャーベット状に凍らせ、液体窒素でマカロンにした「そのぎ茶」の抹茶ホイップを添えた「長崎県産イチゴとそのぎ茶抹茶のスムージーカクテル」(1,400円)を提供する。
液体窒素や減圧蒸留器を使い、素材の鮮度そのままに味や魅力を引き出す独自のカクテルなどを提供する同店。記者発表でカクテルを作る様子を披露した店主の久米孝幸さんは「普段提供している液体窒素を使うカクテルはアルコールが強めのものが多いが、このカクテルは若者向けにアルコールを抑えつつ素材の味を楽しめるよう仕上げた」と話す。
「arcana Mixology&Flair Bar(アルカナ・ミクソロジー・アンド・フレア・バー)」(鍛冶屋町)店主の大村康之さんは「長崎県産ミカンのホットチョコカクテル」(1,100円)を実演。ミカンを漬け込んだウオッカを火で温めアルコールを飛ばしながら香りを引き立たせることで、「チョコレートの甘味とミカンの甘酸っぱさを感じる一杯に仕上げた」という。
期間中、長崎市内の浜町・思案橋エリアの7店舗と、浦上・浜口エリアの1店舗、住吉エリアの1店舗の10店舗でオリジナルメニューを提供。提供店は「ちる旅ながさき」のインスタグラムと長崎市の公式観光サイト「トラベルナガサキ」で確認できる。リーフレットも作成し、市内観光施設やホテルなどで配布している。3月31日まで。