長崎市在住の主婦、・林田静さんが、被災地の母親たちを精神面から支援しようとインターネットなどで呼びかけて集めた絵本を4月5日、福島県田村市の青年会議所に送った。
林田さんは3月23日から31日まで、自身が管理人を務めるミクシィのコミュニティーやツイッターなどで絵本の提供を呼びかけ、1週間ほどで60人余りの賛同者から600冊以上の本を集めた。
林田さん自身にも2人の子どもがおり、乳幼児を持つ被災地の母親へ絵本を届ける企画を思いついたという。被災地には知り合いはいないが、子どものことで周りに気を使いながら不自由な避難所生活をしている母親たちのことを想像すると、「普通に子育てをしている自分が申し訳なく、徐々に罪悪感が増していった」と振り返る。義援金を募金したり長崎市の救援物資窓口へ紙おむつを届けたりするなどいささかの支援はしたものの、気持ちは沈んだままで変わらなかったという。窓口へ届けた物資が「いつ」「どこへ」届くのかさえ全くわからないことにもいら立ちを感じていた林田さん。
「何かしないとやっていられない」――林田さんは日頃の子育ての経験から、絵本が子どもたちにとってミルクや母親のおっぱいと同じだと思いたち、被災地へ絵本を送ることを決意。絵本の回収拠点を確保してから絵本を募ったところ、福島県田村市の青年会議所が近隣の避難所にいる母親たちへの絵本の配布を引き受けてくれたことで送付先が決まった。子どもたちだけでなく、避難している大人も娯楽がなく精神的に疲労しており、絵本企画を大いに喜んでくれたという。
林田さんが集めた絵本は年齢別に仕分けされ、被災地に届いてすぐに配布できるよう2~3冊ごとに袋に入れられている。袋には、この企画に賛同したミュージシャンのウルフルケイスケさん、辺見えみりさんからのメッセージとラジオパーソナリティーの玉川美沙さんと絵本作家のとりごえまりさんが作った手作り絵本「まもってあげる」も同封。ウルフルケイスケさんと辺見えみりさんは、絵本を寄付してくれた協力者に向けてもメッセージを送ってくれたという。
「今回の企画をきっかけに、私自身も含め揺らいでいた母親たちの気持ちをつなぐことができたと思う。今は長崎の母親たちと被災地とのラインがようやくつながったところ。直接何が要るのかを聞いて必要な支援を行っていきたい」と力強く話す。
絵本の支援は締め切ったが、今後も支援を続けていくという。支援の経緯や今後の動きはone heart japanのホームページで確認することができる。