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長崎の小学生、市内のスーパーで「長崎伝統野菜」紹介 工夫凝らす

伝統野菜を紹介する児童ら

伝統野菜を紹介する児童ら

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 長崎大学附属小学校(長崎市昭和町)4年生児童が2月9日、長崎伝統野菜についての発表をジョイフルサン新大工ファンスクエア店(新大工町)、山里店(平和町)、住吉店(住吉町)で行った。

記念撮影の様子(後方中央が中尾さん)

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 長崎伝統野菜は古いもので300年ほど前に中国などから伝わり、形をそのまま保ちながら、現在でも長崎の限られた地域で栽培されている。独自の味、香り、風味があり、長崎の郷土料理に昔から使われてきた。江戸時代から正月や長崎くんちの際には「長崎赤かぶ」をなますにして食べたり、ちゃんぽん考案当時は「辻田白菜」が使われていたりするなど長崎独特の食文化を支えてきた歴史がある。反面、栽培に手間がかかり、病気に弱くデリケートなことから生産者が減少。西山木場地区で栽培を行う生産者の中尾順光さんが伝統野菜育成保存会を立ち上げるなど取り組みが行われている。

 一昨年の春から取り組んでいる総合学習で野菜の栽培を行うことになったという同校の児童ら。「せっかくなら地元に根づいた伝統野菜について知りたい」と中尾さん協力の下、校内の菜園で伝統野菜の栽培を行った。当時3年生だった児童らは9月に「唐人菜」「辻田白菜」「長崎赤かぶ」「紅大根」「長崎たかな」の5種類の野菜の種まきを行い、中尾さんに指導を受けながら大切に育てた。12月に収穫を迎えた野菜は県庁レストランの坂本洋一シェフの調理で味わった。伝統野菜の魅力を伝えようと歴史や育て方、レシピなどをまとめたパンフレットも作ったがコロナ禍で発信する機会がないままになっていた。

 4年生になった児童らは総合学習で「長崎伝統野菜の素晴らしさを伝えたい」と活動を続けることを希望したことから、2022年度も長崎伝統野菜をテーマとすることが決まった。他県にも伝統野菜があることを知った子どもたちは江戸東京野菜の専門家を招いて普及方法について話を聞くなどして学習に取り組んできた。

 発表では「長崎伝統野菜普及隊」として9つのグループに分かれ、伝統野菜を材料にして作った自家製ふりかけや野菜の種、伝統野菜をキャラクター化した缶バッジなどのグッズを配布。伝統野菜を初めて知る人でも分かりやすい資料やオリジナルの伝統野菜の歌などを紹介した。中尾さんは「子どもたちが伝統野菜に興味を持ってくれたのがうれしかった。伝統野菜は生食や漬物で食べることが多かったが、本来は捨てられる赤カブの葉などを使ったふりかけを考案するなど、子どもたちならではの視点で紹介してくれている」と笑顔を見せる。

 新大工ファンスクエアでは4年1組の児童27人が買い物客らに声をかけながら伝統野菜を紹介した。買い物客の一人は「長崎の伝統的な野菜を残したいという熱意が伝わってきた」とほほ笑む。児童の一人は「話を聞いてもらえて良かった。もっと多くの人に伝統野菜のことを知ってほしい」と笑顔を見せていた。

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