第28回コカ・コーラ環境教育賞が3月14日に発表され、長与第二中学(長与町)1年の出水琉(りゅう)さんがプレゼンテーションを行った「team長崎シー・クリーン~世界遺産軍艦島が映える海を守ろう~」が中学生の活動普及部門最優秀賞に選ばれた。
コカ・コーラ教育・環境財団が主催する同賞。環境分野、特に地球環境・環境資源の領域の向上に寄与する取り組みを募集し、優秀な団体の活動や企画研究を顕彰するもので、昨年9月~12月に募集していた。活動普及部門では小・中学生とその指導者を対象に「容器・PET」を考慮し、SDGs項目「12. つくる責任・つかう責任」がテーマとなっていた。
「team長崎シー・クリーン」は長崎大学職員のデミー博士こと出水享さんが2021年に立ち上げた団体。2、3カ月に1回、長崎市の野母崎地区を中心に清掃活動を行ってきた。出水さんの長男の琉(りゅう)さんは海ごみ問題に関心を持っていたことから、同団体が立ち上がる前から道路インフラの維持管理技術者でつくる道守養成ユニットの会(長崎市文教町)の清掃活動に参加。同団体設立後は海岸清掃などの活動に積極的に参加していた。昨年夏には学校で同団体の活動について発表を行い、その後の清掃活動では琉さんの発表を見た5~6人の生徒が参加したこともあった。「活動を広げていくには多くの人に発表できる場が必要」と父・享さんの後押しもあり同賞への応募を決めた。
プレゼンで琉さんは同団体が活動する長崎市南部の野母崎半島について紹介。世界遺産・軍艦島や環境省選定の「快水浴場百選」の一つである高浜海水浴場(高浜町)があり、周辺の道路は国土交通省選定の「日本風景街道」に選ばれる風光明媚(めいび)な場所でありながら、地理・地形の影響でごみが漂着しやすく、釣り客マナーでごみ問題が発生していた背景を説明。軍艦島が好きな仲間で結成した同団体には小学生から大人まで、地域住民や漁師をはじめ自治体職員も参加している。
活動テーマとして掲げる「伝わる・つながる・広がる」についても説明。活動の内容については独自性、地域性、情報発信、教育性、インパクト、発展性、高揚感の7つの特徴を紹介。多くの仲間と活動することで課題解決への大きな期待感を感じたと同時に活動の発展にワクワク・ドキドキしたことから、活動で得た経験を多くの人に伝えることで活動の輪をさらに広げていきたいと締めくくった。
「長崎海上保安部の職員に毎回、活動に参加してもらったり、100人以上が参加した大規模な清掃活動にもつながったりしたこともある」とこれまでの活動を振り返る琉さん。熊本県でSDGsを研究する子ども団体とつながったことで夏に長崎で開催する「SDGs未来会議」に発展するなどしていることから、「環境問題に関心を持つ子どもたちが想像以上に多く清掃活動を超えたつながりにも発展していることがうれしい」と笑顔を見せる。
人が近寄りにくい海岸や消波ブロックにも多くのごみがあることから、「今後はどのように回収していくかを考えていきたい」という琉さん。「情報発信を通じて多くの人とつながり、環境問題を他人事から自分事に変えていきたい。ごみを捨てない社会にすることで世の中から『ごみ拾い』をなくすことができれば」とも。
次回は4月中旬に田の子海岸(野母町)での清掃活動を予定する。