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長崎県立長崎図書館で「アンネ・フランク展」 平和の輪をつなぐきっかけに

オープニングセレモニー後の記念撮影

オープニングセレモニー後の記念撮影

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 パネル展示会「アンネ・フランク展~希望の花~ここから始まる、長崎のミライ」が3月17日~19日、長崎県立長崎図書館郷土資料センター(長崎市立山1)内にある「ミライ on サテライト」で開催された。

来場者に展示物の説明を行う様子

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 時津町浦郷で学習特化型フリースクールを運営するNPO法人「conpeito」が主催する同展。代表理事の牛津理美さんがドイツ生まれのユダヤ人少女アンネ・フランクが残した「アンネの日記」の企画展を開く機会を得たことから、「平和の街・長崎から子どもたちが平和を発信する場を設けたい」と開催を決めた。

 展覧会ではオランダのアンネ・フランク財団が所有するアンネの生涯などを紹介する34枚のパネルと共に、長崎平和推進協会(平野町)提供の長崎原爆の悲惨さを紹介するパネルなどを展示。同施設や長崎市矢上町と長与町にある学習塾「アトリエCOR」の子どもたちと留学生ボランティアらが参加して制作した展示物も並べた。子どもや学生らは展覧会を前に集まって学ぶ場を設け、準備を進めてきた。在日オランダ王国大使館に取り組みを紹介したところ、テオ・ペータス全権公使から直々に後援の申し出も取り付けた。

 17日に行われたオープニングセレモニーでは、テオ・ペータス全権公使から子どもたちへのビデオメッセージが上映されたほか、「アンネ・フランクの形見」として日本に送られたバラを育てている聖母の騎士高校の千住由貴子さんらがあいさつ。同校で大切に育てている「アンネのバラ」1鉢を会場に展示した。

 会期中、子どもたちが受付を担いパネルの説明を行うなど展示会の運営にも参加。ワークショップではNPO法人「CLIL教員研修研究所」(時津町浦郷)の笹島茂理事長が「戦争と平和」について講演を行い、子どもたちが真剣に耳を傾けた。このほか、「戦争と平和」をテーマにしたポスターやアンネ・フランクのタイルアートも制作した。

 19日には満州からの引揚難民を体験し、日本でアンネ・フランク展の開催誘致に携わってきた高木洋子さんと、オランダのアンネフランクハウスでアジア地域を担当する職員のステファンさんをオンラインでつなぎ、講演や討論も行った。その後、アンネ・フランクを通じて学んだことや「私たちに何ができるか」を子どもたちが考えてまとめた「平和を伝える教材」を子どもたちの手で作るワークショップも行った。

 牛津さんは「子どもたちの学ぶ姿勢を大切にするため、展示会の内容は大人がサポートに徹して子どもたちに委ね、学びながら手作りでかたちにした」と振り返る。「ワークショップで取り組んだ教材は今後も制作を進め、将来的にアンネ・フランクハウスがあるオランダや戦禍が続くウクライナの子どもたちに届ける機会を設けると同時に、現地の子どもたちとつながって交流ができれば」と話す。

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