小中学生が自然を体験する冒険イベント「長与川の源流をめざそう!」が5月4日、長与川(長与町)で行われた。
長崎大学職員のデミー博士こと出水享さんが中心となって企画した同イベント。出水さんはインフラ維持管理の技術者養成に携わりながら子どもに向けて、土木の仕事や防災の役割を知ってもらうイベントを開いてきた。
昨年に続き2度目となる今回は、長与町と島原市から参加した小中学生12人が長与駅に集合。あいにくの雨で長与川のごみ拾いはできなかったが、川のそばを通る道のごみを拾いながら上流を目指した。途中、土木の立場からだけでなく、多角的な視野から学んでほしいと、同町の歴史、災害、防災、環境、暮らしなどの専門家がサプライズで登場し、説明を受けながら10キロを巡った。
JR本川内駅前では消防団員で同町地域安全課の荒木啓一さんが登場。2020年に発生した豪雨の際に災害対応を行った経験談やハザードマップと実際の地形を見比べながら土砂災害が起こりやすい地域や災害時の避難行動について紹介。ミカン農家の山口浩司さんからは、同町の特産品にもなっているミカンのプレゼントもあった。
長与ダムでは、同ダムや長与川を管理する長崎振興局の下釜悠輔さんが登場。同ダムは治水だけでなく飲み水や畑・田んぼの水としても使われていることから、長与の人たちにとってとても大切な役割を果たしていることを説明。出水さんは長与川の水をくみ上げて水道水にする長与第2浄水場について触れ、河川やダムで蓄えられた水がどのように蛇口まで届けられているかを解説した。
その後、参加者はゴールとなっている琴ノ尾岳中腹にある長与川の源流を目指し、記念撮影などを行った。
中学1年の梅津陸さんは「長与町がミカンの栽培に適した地形であることや防災工事で地形が変わっていること、川や自然の恩恵を受けて生活していることを知った。一方、道中は想像以上にごみが多いことに驚かされた」と話す。リーダーとして先頭を歩いた中学2年の出水琉さんは「みんながついてきているかなど安全に考慮しながら歩いた。後半は上りがきつく、みんなの心が折れそうになったときに声をかけたり音楽を流してみんなのテンションを上げるなど工夫した。リーダーは大変だったが、源流に到着した時は達成感がすごかった」と振り返る。
出水さんは「体感しながら専門家の話を聞くことで、学校で学んだことがリアルになり、自分事として捉えることができる。さまざまな職業の人たちと触れ合うことでキャリア教育としての効果もある。イベントをきっかけに自分の住む町に興味をもったり、自分の未来について考えるきっかけになれば」と期待を込める。