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寒波で被害を受けた日本一のビワ産地 長崎・茂木地区をCFで支援

茂木の農園でたわわに実るビワ

茂木の農園でたわわに実るビワ

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 長崎県が8月31日、今年1月の寒波で甚大な被害を受けた日本一のビワ産地である長崎市茂木の復興支援を目指すクラウドファンディング(CF)型ふるさと納税を始め、協力を呼びかけている。

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 長崎県のビワの栽培面積・生産量は全国1位を誇り、茂木地区が県内有数の産地として知られている。同地区のビワの歴史は江戸時代末期、唐通事に女中奉公に出ていた三浦シヲが唐ビワの種を長崎市茂木町の自宅庭に播種したことが始まりとされ、全国で栽培されているビワの品種「茂木」の祖とされている。

 一方、近年は生産者の高齢化が進み、ビワ栽培の担い手不足が急速に減少していることから栽培面積もここ10年ほどで半減。ビワは風や寒波の影響を受けやすいが、栽培地は海に面した半島地域が多く、急傾斜で狭い段々畑となっていることから栽培管理作業は機械化が困難で重労働かつ危険を伴うことも多く、これまでも台風などの自然災害で大きな被害を受けて収穫量が大きく減少する年もあった。

 1月から2月にかけて小指ほどの大きさになるビワの果実は寒さに非常に弱く、マイナス3℃以下の低温に長時間さらされると枯死するが、露地栽培では寒波を避けることが難しい。県によると今年1月の寒波でビワの果実が凍結する被害が相次ぎ、甚大な被害を受けたことから、今年の露地ビワの出荷量は大幅に減少し、被害額は5億円以上に上るという。

 「生産者の努力で維持されている日本一のビワの産地を次世代に引き継いで行きたい」と長崎県は、クラウドファンディング型ふるさと納税「未来へつなぐ長崎びわ産地プロジェクト」を立ち上げた。県外在住者が1万円以上を寄付すると、来年4月以降にビワやビワゼリーが返礼品として送られる。1,300万円を目標とする同プロジェクトでは急斜面にある狭いビワ園の改良整備や簡易な農業用ハウスの整備により安定生産できる環境整備に取り組む。県では希望者への聞き取り調査を始め、来年にかけて順次整備を進める。

 県農産園芸課の担当者は「日本一のビワの産地を揺るがすほど大きな被害があったが、生産者は災害を乗り越えて来年の収穫に向け栽培に取り組んでいる。ビワの産地の風景を未来につないでいきたい」と支援を呼びかける。

 12月29日まで。

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