角力灘の夕日を見ながらクルージングを楽しむイベントが10月21日、開催された。主催は外海ツーリズム協議会。
長崎市北西部にある外海地区で特産品の「かんころ餅」作りや料理体験、農作業体験、体験民宿など地域に滞在してさまざまな体験を通して現地の人々と交流を図るグリーンツーリズムを企画・開催してきた同団体。クルージングイベントは「ながさきサンセットロード」の一部にもなっており、海と夕日がきれいに見える長崎屈指の夕日が楽しめるドライブコースとしても有名な景観を違う角度から楽しんでもらうのと同時に地域の魅力を知ってもらいたいと数年に一度、客船を貸し切って開催している。今回で4回目。
当日は、長崎市内を中心に佐世保や県外からも合わせて100人以上が参加した。神浦港フェリー乗り場で客船「れぴーど」に乗船し、16時に出港。船内では同団体の平則子会長と松岡信道さんがガイドを務め外海周辺の紹介をしながら池島の北側を目指した。快晴だったが朝から10メートルを超える風が吹き、午後から少し落ち着いたものの多少波のある海況だった。船内は揺れ、2階甲板の客席は時折しぶきが飛んでいたものの、せっかくの景色を楽しもうと大勢が集まった。
池島に近づくと船が減速し、島の様子が見えるようにゆっくりと航行。松岡さんらが九州最後の炭鉱があり、かつては大勢の人が暮らした島の歴史などについて説明した。島の沖にある大蟇(おおびき)島・小蟇(こびき)島に船を走らせると、大蟇島には池島から伸びる海底炭鉱に空気を送る吸排気竪坑があったことや島の西側には波風の浸食でむき出しになった地層が見えることなどを解説した。
船内ではクイズ大会も行い、正解者には外海にある大中尾棚田で取れた米を贈った。
池島の南側からは炭鉱につながっていた竪坑や炭鉱住宅を間近に見ながら船は東に転進。角力灘に枯山水のようにそびえ立つ巨岩「大角力」「小角力」の近くを周遊した。景勝スポットとして普段は外海から遠くの沖合にしか見ることができない景色を間近に多くの参加者がカメラを構えた。船はそのまま大角力の近くに停泊し、参加者は日暮れから日没までの様子楽しんだ。
港では同団体のンバーが用意した手作り弁当を配布。ターミナルに隣接するホテル外海インで食事を楽しむ参加者の姿もあった。参加者からは「田舎のおばあちゃんの家で食べるような懐かしい味わい。とてもおいしい」などの声が聞かれた。
「コロナ禍が落ち着き、ようやくクルージングを開催することができた。多くの人に外海の景観をいつもと違った視点から楽しんでもらえたのでは」と話す平さん。参加者からは「楽しかった」「また参加したい」などの感想が寄せられた。