若者対象のアートイベント「Artmucation(アートミュケーション)」が3月3日、長崎県庁エントランスホールで開催された。主催は「縁JOYプロジェクト」。
コロナ禍がきっかけで表現する場を失った若者に活躍の場づくりや若い感性の発掘を目指して2022年3月にオンラインイベントとして初開催した同イベント。3回目となる今年は昨年5月に行動制限が解除されたことから、学生が作り上げる新たなかたちで開催した。
当日はオープニングアクトに長崎大学全学書道部が書道パフォーマンスを披露。長崎県在住や長崎県に関わりのある高校生から20代までを対象に、写真と動画の2部門から成るコンテストには12組が参加。写真部門は長崎で毎年開催されているみなと祭りの花火のクライマックスの瞬間を収めた桑原聖輝さんの「夏の華」が、動画部門は自身で作詞作曲を手がけた楽曲のMVとしてアニメーション作品に仕上げた関東紘明さんの「港のオバケ」が、それぞれの部門で優秀賞に決定。関東さんの作品は最高賞となる県知事賞にも輝いた。審査員特別賞には八坂一風起さんが生まれ育った福岡県の実家近くの里山での原体験を小学生の頃に拾ったタヌキの頭骨で表現したモノクロ写真作品「MEMORIES」が選ばれた。民放4局から集まった審査員からは「それぞれ思いのこもった作品で長崎の若者の発信力に驚かされた」という声が上がった。
関東さんの作品はお化けが出るとうわさされる港に行った少年がお化けと友達になるストーリーを楽曲に合わせて表現。後半に向けて曲調が明るくなる「ピカルディー終止」という手法を取り入れ、素直になれなくて友達がいない少年が本心を打ち明けられるようになる様子を歌詞とアニメーションで表現した。
コンテストの途中、長崎市と時津町に3拠点を展開するダンススタジオ「space union」によるショーケースや長崎大学よさこい部「突風」による演舞を披露し、イベントを盛り上げた。
長崎県文化振興課の山浦義次さんは「コロナ禍で文化活動がストップした中でオンラインを活用した全国的にも珍しい取り組みとして注目を集めた。来年長崎県内で開催する国民文化祭に向けて機運を高める取り組みの一環という意味もある。長崎にいるクリエーターの作品が日の目を見る機会につながったのでは」と話す。縁JOYプロジェクト代表の柿田紀子さんは「このような機会がないと日の目を見ないクリエーターの作品。発表・発掘の場として今後の活躍につながってもらえれば」と期待を込める。
現在、長崎県美術館運河ギャラリーでコンテスト作品の展覧会を開催。15日からは長崎県庁1階エントランスホールに会場を移して作品を展示する。今月22日まで。