長崎市たちばな漁業協同組合(長崎市戸石町)で現在、夏に旬を迎える養殖イワガキの出荷が最盛期を迎えている。
マガキの養殖が盛んで10業者がカキ部会に所属する同漁協では2009(平成21)年、市水産センター(牧島町)が生産した種苗を使ったイワガキの試験養殖をスタート。順調に育成できることを確認したことから、3業者がマガキと並行してイワガキの養殖に取り組んできた。
同地区の養殖場ではホタテの貝殻に定着させた稚貝をロープにつるし、2年ほど養殖したイワガキを一度取り外す。10個~15個程度に小分けしたかごに入れて海に浸し、1カ月ほど育成し、実入りをよくしてから200~300グラムほどに育てたイワガキを中心に生産。例年5月下旬に出荷を始め、夏にかけて最盛期を迎える。今年は8トン~10トンほどの水揚げを見込む。
生産者の福島政茂さんによると、「戸石周辺の海域は山からもたらされるプランクトンと外洋性のプランクトンのどちらも豊富なためか他の漁場より成長が早いのが特徴。クリーミーで濃厚ながらもあっさりと食べられる戸石のイワガキ。今年は実入りも、とてもいい」と話す。
福島さんは今年4月、イワガキを生産する峰巨如さん、長野純孝さんと共に「長崎生まれ、長崎育ちのイワガキ」をPRする生産者団体「AZUL+3(アズールプラススリー)」を結成。漁師3人がコラボした新ブランドとして認知向上や消費拡大に向けて取り組んでいる。
「現在は長崎周辺を中心に出荷している」という福島さん。「まずは地元の方に戸石のイワガキのおいしさを知ってもらい、生産地として名が知られるよう育てていきたい」と意気込む。
イワガキは8月中旬まで漁港に隣接する直売所「戸石フレッシュ朝市」(戸石町)で販売するほか、港の近くにある「海鮮料理わかすぎ」(戸石町)や「和泉苑」(戸石町)などの飲食店でも提供する。