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長崎のブランド養殖魚「戸石ゆうこうシマアジ」が出荷再開、試食販売も

シマアジを手に復活をアピールする長野さん

シマアジを手に復活をアピールする長野さん

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 長崎特産のブランド養殖魚「戸石ゆうこうシマアジ」の出荷が再開されたことをアピールしようと、養殖を手がける昌陽水産(長崎市牧島町)が5月25日、エレナ東長崎店(矢上町)で試食販売を行った。

赤潮被害を乗り越え出荷再開にこぎ着けた

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 「戸石ゆうこうシマアジ」はこれまで廃棄されていた長崎特産のかんきつ「ゆうこう」の搾りかすを活用しようと、長崎市水産センターが2015(平成27)年から2年ほどかけて開発した長崎市初のフルーツ魚。餌にゆうこうを混ぜることで魚特有の生臭さを抑え、切り身の劣化を抑える「抗酸化作用」がある。長崎市東部の橘湾でトラフグの養殖事業を手がけてきた昌陽水産が販路の多様化を図ろうと2018(平成30)年、生産に着手。自動給餌機を導入して管理を行うことで、これまで3年ほど必要だったシマアジの肥育期間を1年半から2年に短縮するなど工夫を凝らしてきた。

 長崎県内を中心に約40店を構えるスーパーマーケット・エレナ(佐世保市)では2021年7月、戸石ゆうこうシマアジの店舗販売をスタート。シマアジが旬を迎える夏季を中心に6月・7月と9月~11月の金曜~日曜、全店舗で特売期間を設けて販売してきた。同社鮮魚担当バイヤーの山口洋平さんは「地産地消に力を入れ、季節ごとに佐世保産のマダイや九十九島の養殖ヒラマサなど県内各地で特産品になっている魚の販売を企画している。ゆうこうシマアジは産地となっている長崎市周辺で特に人気が高い」と話す。

 昨年夏に橘湾一帯で発生した大規模な赤潮が発生し、シマアジやマダイ、トラフグなどの養殖魚の多くが死滅。被害総額11億円と県内でも過去最大級の壊滅的な被害を受けた。昌陽水産の長野陽司社長は「当時養殖していたシマアジ13万匹ほどが全滅。廃業も考えるほどの状況だった」と振り返る。

 仲間の漁業者などの協力もあり、復活を目指すことを決めた長野さん。国や自治体による支援に加え、独自に行ったクラウドファンディングを通じて全国から支援を受け、稚魚の確保や養殖場の赤潮対策などを進め、今月24日、約1年ぶりに出荷再開にこぎ着けた。

 今回の試食販売会では試食用の刺し身を用意し、丸ごと一本のほか、刺し身や切り身、すしなど、ニーズに応じたさまざまなかたちで戸石ゆうこうシマアジを販売。長野さんやスタッフらが店頭に立ち、訪れた買い物客に声をかけながら復活をアピール。シマアジを手にした買い物客からは「販売再開を待ちわびていた」「地元の特産品が復活してうれしい」などの声が聞かれた。

 「一般向けの販売を手がけるようになったことで消費者の声を直接聞けるようになってうれしい」と長野社長。「ようやく販売を再開することができたが、今年出荷できるのはこれまでの半数程度。復活に向けて頑張っていくと同時に、これまで以上に認知してもらえるようアピールし、ブランド魚として確立していきたい」と意気込む。

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