長崎県内最大の公募展「第68回長崎県美術展覧会(県展)」が9月15日、長崎県美術館(長崎市出島町)で始まった。主催は長崎県美術協会。
8月上旬に募集し、「日本画」「洋画」「彫刻」「工芸」「書」「写真」「デザイン」の7部門に今年は1303作品の出品があった。受賞者・入賞者が9月14日に発表され、足達由佳さん(長崎市)の彫刻作品「葛藤」が最高賞となる西望平和賞に選ばれた。
彫刻部門からは3年ぶりの最高賞を受けた足達さんは佐賀大学芸術地域デザイン学科4年。等身大の難しい座りポーズに取り組んだ作品は完成度の高さとともに彫刻作品では珍しく、屋外に設置し、風雨にさらされて経年変化したブロンズ像の風合いを再現した着色も評価された。
各部門の最高賞となる知事賞では近年少なくなっている歴史画に取り組んだ「沈黙(大村藩士千々石ミゲル清左衛門)」日本画・木下剛さん、長崎原爆をテーマにした「風の無(な)い日に」洋画・おおせらまさしさん、織りの技量と豊かな感情が織りなす「眠る山」工芸・熊野清貴さん、美しい造形を常に高く意識して高い技法でみずみずしく表現した「張喬詩」書・筒井美津子さん、タグボートを切り取って3枚の連作とした「プルシアンブルー」写真・山田真理さん、絶滅危惧種の保全が危機にひんしている様を糸とくぎで表現した半立体作品「命を紡ぐ」デザイン・窄口和夏さんが、それぞれ受賞した。洋画部門の新人賞に当たる特別賞「野口彌太郎賞」には野宮よし乃さんが描いた「葉洩(も)れ日」が決まった。
発表を前に会見を開いた実行委員長の江副功さんは、20代から最高賞が選ばれたことに触れ、「若い世代の活躍は大変喜ばしいこと。来年に控える『ながさきピース文化祭2025』は県展も第70回を迎えるタイミング。人材育成にも、より力を入れ、県内の美術界を盛り上げていきたい」と若手の活躍に期待を込める。
入賞・入選作品の一般公開は佐世保市博物館島瀬美術センター(佐世保市)や諫早市美術・歴史館(諫早市)でも行うほか、五島市と大村市での移動展も予定する。
開館時間は10時~18時(最終日は16時閉館)。9月24日は休館。入場料(当日)は、一般=500円、70歳以上=400円、高校生=200円、小中学生無料。9月29日まで。