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長崎・中新町に市民農園「さかのうえん」 5カ所目の新拠点お披露目

長崎港を見下ろす眺めのいい場所にある

長崎港を見下ろす眺めのいい場所にある

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 傾斜市街地を活用した市民農園「さかのうえん中新町ザ・ビュー」(長崎市中新町)が完成し、3月29日に披露会が行われた。

看板を設置する平山さん(中央)ら

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 「長崎の都市価値をゼロベースで再考し、提案・実践する」ことを目標に平山広孝さんが2010(平成22)年4月に設立した景観まちづくり団体「null長崎都市・景観研究所」が運営する同施設。2011(平成23)年2月に行われた「若者によるまちづくり提案発表会」で「斜面都市のリ・デザイン」として斜面市街地の空き地を「地域資源」として捉え、地域課題の解決と若者のアクティビティーの開発に向けた取り組みとして、田上富久前長崎市長に提案。中新町に平山さんの友人が転居したことがきっかけで自治会長に市民農園を作ることを提案し、2020年5月に「さかのうえん中新町ベース」がオープンして以降、年1カ所のペースで拡大。一般市民向けの貸農園としてだけでなく、周辺の学校と連携した教育の場や「長崎伝統野菜」の保存・伝承に向けた取り組みの場としても活用。今年1月には社会福祉事業所と提携し、同園で栽培した長崎伝統野菜を使った乾燥ミックス野菜の販売も始まっていた。

 5カ所目となる同所は財務省の長崎財務事務所が管理する国有地。もともと長屋が立っていたことから解体時のがれきなどが残ったままとなっており、長崎市自治振興課との協働で行った「ふるさと納税型クラウドファンディング」で集まった約90万円の資金を活用して整備を進めてきた。

 当日は、にたさこコミュニティ会長の柿田修也さんや周辺の住民らが集まり完成を祝った。長崎財務事務所長の田原秀司さんは「空き地の活用と同時に人が集まり活性化につながる場になれば」とあいさつ。長崎市自治振興課の川村研一さんは「初めてのふるさと納税型クラウドファンディングを活用した試みだった。今後も市として側面支援の形を模索できれば」と話す。参加した近隣住民からは「人が出入りするようになることで防犯につながるなど、地域住民へのメリットも期待できるのでは」という声も聞かれた。

 平山さんは「高度経済成長期の人口増加に伴う急激かつ無秩序な開発が行われたが、少子高齢化によって持続可能な地域づくりが困難になるなど、さまざまな課題を抱えているエリア。もとは斜面地に段々田畑が広がっていた『自然共生区域』にも位置付けられている環境を生かし、取り組みを広げていきたい」と意気込む。

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