
「大村湾ワンダーボート大会」が7月26日、時津ウォーターフロント公園(時津町浦郷)で開催された。
同インベントは日本財団が取り組む「海と日本プロジェクト」の一環として「大村湾ワンダーベイプロジェクト」が企画。支給されたゴムボートと扇風機、電動ドリル、ウオーターポンプの中から抽選で選ばれた2つの動力を使って制作した電動の船でスピードやデザインなどを競うコンテストを通じて、地元・大村湾を身近に感じ、海の環境について考えるきっかけづくりを目指す。古くから海洋産業や造船業をけん引してきた長崎で海やものづくりに親しむことで、未来の海を守る人材を増やすことも目的としている。
当日は島原工業高校、長崎鶴洋高校、長崎工業高校、長崎総合科学大学付属高校(以下、総付)の4チーム27人が製作したボートが会場に並んだ。長崎を拠点に活動する芸人の長崎亭キヨちゃんぽんさんも登場してイベントを盛り上げた。デザイン審査では大村湾漁業協同組合の松田考成組合長ら5人の審査員を前に各校の代表がプレゼンを行った。この日に向けて2カ月間準備を進めてきたという高校生たちは、与えられたボートや動力と日頃学んできた技術や知識を生かし、コンセプトからどのような船に仕上げたのかを力説した。
レースは直線とスラロームの2コースを用意。直線レースでは30メートルほどの間隔で置かれたブイの間を2チームずつ競った。工業高校対決が注目となった予選第1レースは長崎工業と島原工業が登場。扇風機2台を使ったホーバークラフトのような見た目の長崎工業のボートは風に流されて大きく後れを取ったのを横目に、扇風機と電動ドリルを使った島原工業のボートは序盤からスピードに乗り、一気に突き放す結果となった。第2レースでは一部の航空機にも使われている二重反転プロペラ機構を採用し、自ら設計した機構部を3Dプリンターで製作した総付と船底に穴を開けてドリルを取り付けたことがデザイン審査で物議を醸した長崎鶴洋のボートが登場。レース中盤でトラブルが発生し、船が進めなくなってしまった総付を尻目にスムーズな加速で一気にゴールを目指した長崎鶴洋が決勝進出を決めた。決勝では序盤からスムーズな滑り出しを見せた島原工業が長崎鶴洋を下し、40秒のタイムで優勝を決めた。
スラロームレースは直線コースの途中に置かれたブイを交わして一校ずつタイムを計測。応急処置を終えた総付も復帰して競った。風に流されて後れを取った長崎工業が2分1秒という結果になった。直線レースで49秒だった長崎鶴洋は操船のコツをつかんだのか47秒とタイムを縮めたが、島原工業は45秒で逃げ切り、2冠を達成した。直線レースでは棄権となった総付だったが2分34秒で走り抜け、大きな拍手が送られた。
表彰式では第1回大会で2冠を達成した島原工業が喜びの声を上げた。デザイン審査では奇抜な発想ながらも4チームの中で最もシンプルな見た目に仕上げた長崎鶴洋がアイデア賞、環境賞、乗ってみたいで賞の3賞に輝いた。総付が技術賞を、前面に取り付けたカウルなどデザインを評価された長崎工業がデザイン賞を獲得した。
主催する大村湾ワンダーベイプロジェクトは「穏やかできれいな大村湾だからこそできた大会。夏の風物詩となるような大会として続けていきたい」としている。