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淵神社で映画「遠い山なみの光」の場面再現 初代ゴンドラも併せ限定公開

初代ロープウエーのゴンドラ「つる号」

初代ロープウエーのゴンドラ「つる号」

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 映画「遠い山なみの光」のストーリーに登場する稲佐山山頂を再現した木柵と稲佐山ロープウエーの初代ゴンドラ「つる号」の一般公開が11月9日、淵神社(長崎市淵町)で行われる。

映画に登場する稲佐山山頂でのワンシーン 全国公開中 配給=ギャガ ©2025 A Pale View of Hills Film Partners

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 現在公開中の映画「遠い山なみの光」は長崎出身のノーベル文学賞作家・カズオ・イシグロさんの処女作として1982(昭和57)年に「A Pale View of Hills」として刊行されたヒューマンミステリー小説が原作。1960(昭和35)年に5歳で渡英したイシグロさんの幼少期の長崎での記憶を元に戦争の記憶や女性の自立を描く。1950年代に傷痍(しょうい)軍人の夫・二郎と団地に暮らす主人公・悦子を広瀬すずさんが、1980年代の悦子を吉田羊さんが、それぞれ演じる。

 淵神社に設置された木柵は1950年代の悦子が出会った二階堂ふみさん演じる謎多き女性・佐知子と稲佐山二ピクニックに出かける物語の重要なシーンで登場。当時の稲佐山展望デッキに設置された木柵を模したもので、木柵の奥に広がる戦後復興期の長崎を背景に語り合う場面を再現している。

 映画には当時のロープウエーを再現したゴンドラや駅も登場。ゴンドラのモデルとなった「つる号」は1959(昭和34)年10月に開業した長崎ロープウェイで「はと号」と共に使われた。当時の稲佐山への登山道は山の斜面を切り開いた未舗装道路だったことから、淵神社駅から稲佐岳駅まで1096メートル、高低差約300メートルを5分で到達できる画期的な交通手段として登場。1995(平成7)年に2代目のゴンドラ「ながさき号」と「いなさ号」にバトンタッチ。2011(平成23)年に側面ガラス張りの「星のしずく」と「月のしずく」にリニューアル。「つる号」は淵神社横に2021年まであった宝珠幼稚園の園庭で遊具として愛されてきた。同作を手がけた石川慶監督もシナハンで来崎した際に同所を訪れていた。

 当日は立ち入り禁止となっている園庭を開放し、映画のパネルなども設置する。

 「映画が公開されて当時の長崎を懐かしむ声を多く聞いた」と話す淵神社の関係者。「映画の世界観を再現できれば」という長崎県フィルムコミッションの思いに賛同し、イベントの開催に協力してきた。

 長崎県フィルムコミッションの高村美保さんは「木柵越しに長崎の山なみを楽しめるロケーションとともに映画に登場するロープウエーのモデルとなったゴンドラの見学もできる。映画の世界感を楽しんでもらえれば」と来場を呼びかける。11月30日まで映画のチケットの半券を提示すると長崎ロープウェイの往復券が割引になる。稲佐岳駅ではパネル展も行っていることから、「実際に稲佐山にも行ってさまざまな角度から映画の舞台となった長崎を体感してもらえれば」とも。

 開催時間は9時~16時。

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