映像制作やIT人材育成を通じて地方創生を目指す「つなぐ」(長崎市目覚町)が12月12日、長崎県庁で大石賢吾長崎県知事や鈴木史朗長崎市長と立地協定を結んだ。
同社は、年間1000本を超える映像制作を手がける映像制作会社「AOI Pro.」(東京都港区)とスポーツエンターテインメントに特化したIT事業を展開する「ホットファクトリー」(大阪市西区)の共同出資によるジョイントベンチャーとして11月に設立。映像クリエーティブとIT・ウェブソリューションという両者の強みを融合し、「若者に学びと仕事の機会提供を目指する」という。
同社が11月に目覚町に開設した「つなぐベース」は映像制作やITなどに興味のある若者が気軽に集まり、出会うと同時にアイデアを形にできる「自由な創造拠点」。映像制作やITの制作現場で活躍するプロなどを講師に招き、「見る」「学ぶ」から「創る」「発信する」までをワンストップで体験できる場を目指す。
社長に就任した鳥居碧さんはこれまでAOI Pro.の事業の一環として地域資源を生かした映像制作ワークショップなどに携わり、地域の魅力発信・地域活性化に取り組んできた。地方創生や地域課題解決への熱意と共同出資した両社の「若い世代が考えながらプロジェクトを進めていく形がいいのでは」という思いから社長に抜てきされた。
調印式に臨んだ鳥居さんは「人口流出という地域課題がある長崎だが、大学があり、愛郷心のある子どもも多いと感じる。地元に仕事がないという理由で長崎を離れざるを得ない若者も多い。映像制作やITなど遠隔でできる仕事の人材を育成することで都市圏の仕事の一部に、長崎にいながら携われる環境を創出したい」と意気込む。デジタルに強く、「街のために何かしたい」という思いを持つ若者にも多く出会ってきたことから、「『ITやクリエーティブ人財』だけでなく、地域の魅力をコンテンツ化し、自ら発信できる『地域の人財』を生み出していきたい」とも。
AOI Pro.の田中優策社長とホットファクトリーの早田泰三社長は「長崎で働き続けられる、住み続けられる選択肢を提供できればという思いでプロジェクトを始動させた」と振り返る。
大石知事は「若者に訴求力のある企業。新たな動きをつくっていってほしい」と期待を込める。鈴木市長も「クリエーティブ人材育成を通じて人口流出を打破できないかと2年ほど前から話を進めてきた。しっかり連携して前に進めたい」と話す。
「つなぐベース」では設備が整う来年2月ごろから、ワークショップなどの開催を予定する。