長崎伝習所(長崎市馬町)は11月11日、長崎歴史文化博物館ホール(立山1丁目)でNPO法人「宮崎文化本舗」代表理事の石田達也さんを招いて「まちコツアカデミー」を開催した。NPO関係者など約100人が聴講した。
「まちコツアカデミー」は、まちづくりのコツを成功事例から学ぼうというセミナー。石田さんは高校卒業後、アメリカ・バージニアビーチ市にある大学へ留学。家庭の事情で宮崎に帰国する際、クラスメート約50人が一緒に日本に行きたいと言い出し、当時国際関係の窓口がなかった宮崎市に代わって、彼らが1週間ほど滞在する受け入れ体制を整える役割を担ったのがNPO活動に関わるきっかけ。バージニアビーチ市は宮崎市が最初に姉妹都市を結ぶ外国の都市となった。その後、石田さんは宮崎市内で喫茶店を開くが、1995年に現在も続く「宮崎映画祭」を立ち上げたのを機に喫茶店を閉店。地元の映画館に3年間勤務した後、2000年10月にNPO法人「宮崎文化本舗」を設立する。
石田さんがNPO活動を始めたきっかけは、「全く予期しない偶然の産物だった」とユーモアを交えて紹介すると、聴講者から大きな笑いが起こった。当時はNPO法が制定されたばかりの時期で、人間関係の問題など数多くの問題を乗り越えながらNPOができていく話では、多くの聴講者がうなずきながら熱心にメモを取っていた。このNPOは当初、映画館運営を主力事業とする予定だったが採算が合わない可能性が高いため、試行錯誤の末にNPOや市民活動の事務局代行業務を行うことになる。顧客はしばらくの間ゼロだったが、最初の依頼を成功させたのをきっかけに口コミで依頼が増加。現在では墓地や公園、アートセンターなど宮崎市の施設の指定管理業者になるなど多くの事業を手掛け、年商数億円の規模に成長したという。
石田さんたちは、運営する映画館に「僕たちは世界を変えることができない」の主演・向井理さんらを舞台あいさつに呼ぶ映像コンテストに参加。本物のプロモーションビデオそっくりのパロディービデオを作ってユーチューブで宣伝したところ、見事グランプリを獲得して向井さんらを呼ぶことに成功した。そのビデオが披露されると、会場は爆笑の渦に包まれた。石田さんは「大切なのは失敗してもいいということ。そして同じ失敗を繰り返さないことで人が育つ。相手に応じて褒めながら、現場で育てていくことが人づくりのコツ」と力説する。
長崎伝習所の大串さんは「成功した人の話は本当に参考になる。今月14日はブリックホールで『自分新化講座』の3回目もあり当日参加も可能。長崎伝習所のイベントを、自分の成長に生かしてもらいたい」と話す。