今年、長崎くんちの年番町にあたる磨屋町(とぎやまち)の有志が4月27日、年番町の役割や歴史などを伝える町内向け広報紙「トギヤンズニュース」を半年間の期間限定で創刊した。
磨屋町は1966(昭和41)年の町境変更で諏訪町と古川町に分割編入されたため町名としては現在残っていない。長崎以外でも岡山や高松などに同じ町名があるが、昔は鏡や刀を研ぐ人たちが住んでいたために付けられた町名だという。
同町は今年、長崎くんち全般の世話をする「年番町」に当たっており、町内在住の橋本剛さん(42)が「磨屋町をもう一度見直すため、年番町の行事に関わっていない人にも活動や歴史が目に見えるような取り組みをしたい」と発案。年番町の会議の席上で「くんちまでの半年間、磨屋町を見直す広報誌を作ってみます」と宣言し、有志の協力を得て創刊した。A4サイズ片面のシンプルな作りで、町内の民家や事業所などに170枚を手配りした。
創刊号のトップニュースは「本役の子供募集」。本役(ほんやく)とは、お神輿(みこし)行列に随行する烏帽子(えぼし)姿の男児や桃色の着物を着た女児(いずれも小学校3~6年、中学1年)のこと。そのほか、飛び入りと呼ばれる乳児や幼児、随行する大人など老若男女多数が行列に参加する。
「長崎くんちでは行政区画としては消滅した町でも旧町名の範囲内で協力し合って祭りを成功させる伝統がある。若い世代やくんちに関心が薄い人にも磨屋町のことを再認識してもらえれば」と橋本さん。
同紙は長崎くんち本番の10月まで月1回をめどに発行。次回発行は5月中旬を予定。