国指定史跡「出島」(長崎市出島町)で3月21日・22日の両日、食や物産を楽しむイベント「史跡出島蔵出しフェスタ」が開かれる。
同史跡内にある「旧長崎内外クラブ」は1903(明治36)年、元グラバー商会の社員で後に「ホーム・リンガー商会」を設立したフレデリック・リンガーが建設した建物で、出島では外国人が所有した最後の建築物。長崎在住の外国人と日本人との社交場としての役割を果たしていた。現在は無料で公開され、1階にはNPO法人「長崎の食文化を推進する会」が運営するレストランがある。同NPO代表の山下慧さんは厚生労働省が認定する現代の名匠(西洋料理部門)。ホテル・ニュータンダ(常磐町)の名誉総料理長でもある山下さんが中心となって同フェスタを企画し、昨年10月にプレイベントが開かれた。
「長崎食の西洋祭」「出島蔵出し」のテーマで構成される同フェスタ。内外クラブレストランでは春からの新メニューであるシカやイノシシの肉料理の紹介を兼ねて、両日とも特別企画として通常の半額で提供する(10時30分~15時)。会場内の芝生広場では両日にわたり10店以上が並ぶマルシェが開かれ、「長崎和牛スライスビーフステーキ」「白いソーセージ」「ド・ロさまそうめん」「長崎ハトシロール」「猪ベーコン」「塩一夜干し」「こだわりかんころ餅」など多くの地元食材を販売するほか、午後には和菓子の練り切り体験が1日2回ずつ行われる。同広場では21日午後に1回、巨大なカステラを切り分けて来場者に振る舞う「大カステラ振る舞い」が行われるほか、22日12時から先着100人限定で「長崎和牛・出島ばらいろ」試食会が開かれる。
長崎内外クラブの2階では22日10時30分から「長崎出島西洋料理コンテスト」が開催され、「長崎出島ビーフライス」というテーマで料理の腕が競われる。同日14時からは芝生広場で料理研究家の脇山順子さんを講師に招き、「しっぽく・ヒカド」をテーマに長崎の食文化ワークショップを開く。
カピタン部屋では21日18時から「カピタン部屋晩餐会」を開催。カピタンとは江戸時代、東インド会社が日本に置いた商館の最高責任者「商館長」のこと。商館長たちが人生を謳歌した当時の雰囲気を感じながら復元建物の中で長崎検番の踊りを楽しみ、料理や飲み物を堪能できる(有料・長崎さるく受付に事前申込みが必要。TEL 095-811-0369)。
そのほか、ヘトル部屋では「蔵出しお宝展示会」「蔵出し販売会」「出島タイムトリップビュー」が、カピタン部屋では「蔵出し芸術祭」が、それぞれ開かれる。一番船船頭部屋では和服を体験することができる。
チケットは前売り券=1,000円(当日=1,200円)。チケット代金には出島の入場料(500円)が含まれるほか、会場内で1,000円分の買い物券として利用できる。スケジュールなど詳しくは出島のホームページで確認できる。