長崎ブリックホール(長崎市茂里町)で9月28日、愛知県在住のガン生還者・杉浦貴之さんの講演会「命はそんなにやわじゃない!」が開かれる。主催はガン生還者に学ぶ会
同会の発足4周年記念イベントとして開かれる同講演会。同会代表で長崎市在住の福浦さゆりさんは2002年、「卵巣ガン・ステージ3」と診断された。手術や抗がん剤治療を受け、3回もの入退院を繰り返しながらも状況は過酷だった。
しかし食事や精神状態の保ち方などを通じて生活習慣全般を改め、さまざまな手当ての方法も実践しながら再発することなく現在も元気に生活している。2006年には闘病記「お釈迦様への手紙」(長崎文献社刊)を出版した。
福浦さんが同会を立ち上げたきっかけは、闘病中に知り合った片岡千恵子さんという女性患者との出会い。片岡さんは、「卵巣ガン・ステージ4」にありながらいつも愛情いっぱいで笑顔が絶えない人だったという。福浦さんは「重苦しい病室の中にあっても光のような存在だった。彼女は2003年の9月に亡くなったが、亡くなる直前に『天国に行ったら、空の上から同じ病気で苦しんでいる人を励ましたい』と笑顔で言い残した。私は元気になって、生きて生き抜いて何か彼女の手伝いをしたいと思うようになった」と振り返る。
自分が闘病中にしてほしかったことをほかの人たちにしようと思った福浦さんは「私や片岡さんのように厳しい状況を克服して生還した人たちから話を聞ける場所を作ろう」と決意して同会を発足した。
「人生は人それぞれ。でも、どんなに見放されても生き続けたいと希望を捨てない人は、死のふちから生還した人たちの話を聞きたいと熱望している。いろいろな考え方、生き方があるから自分に合うものを見つけてもらい、決して絶望だけはしない入り口が提供できれば」とも。
杉浦貴之さんは1971(昭和46)年、愛知県生まれ。1999年、28歳でガンを発症。医師からは「早くて半年、2年後の生存可能性はほぼない」と言われるが、病床でガンを絶対に克服することを決意する。2005年にガンを克服した人や命と向き合う人の思いを書いた雑誌「メッセンジャー」を創刊。「ホノルルマラソンに出場して、翌日結婚式を挙げる」と闘病中に死のふちで誓った夢は2009年、現実のものとなる。
同年の元日に妻となる亜紗比さんと入籍。11月には長女も誕生し、12月のホノルルマラソンでは亜紗比さんがゴール直前で両手を広げて杉浦さんを出迎えた。翌日は大勢の友人、支援者に囲まれて結婚式を挙げる。2010年、2011年と2013年には、ガン患者や家族、サポーターを伴いホノルルマラソンに参加。約200人全員が完走を果たす。メディアでも多く取り上げられ、「メッセンジャー」の取材と学校などでのトークライブ、講演会などで全国を回っている。
福浦さんの最終退院日は4月9日。通常4や9という数字は忌み嫌われる。「ガンも忌み嫌われることは多い。自分はむしろ4と9にこだわった。『よ・く・なる』と受け止めて毎年、4月と9月に講演会を開いている。節目となる4周年は、自身がガン生還者でありながら会場に集まった人たちを笑いと感動の涙で包む杉浦さんをぜひ招きたかった」と話す。
同講演を前に、杉浦さんは「余命宣告から15年たった現在は、病気になる前よりも元気でしあわせになった。人間の無限の可能性を引き出す方法や夢をかなえる習慣、自然治癒力を高める方法を歌とトークで伝える。笑いも満載で、この一日で人生が変わるきっかけになるかもしれない」とメッセージを寄せる。
福浦さんは「ガンの人だけではなく、健常者とも広くつながりながら講演を行っている杉浦さんは4周年に来ていただくのにふさわしいと思った。小中学校をはじめとしていろいろなところで広く呼び掛けているが、まだ参加者が少ない。杉浦さんの話にはどなたでも得るものが必ずあるので、ぜひ立ち寄ってほしい」と呼び掛ける。
開演時間は13時30分~15時30分(開場13時)。参加費は1,000円。