特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(代表:中村雄一)は、2026年3月3日、長崎県対馬市立西部中学校にて「世界とつながる学び」講演会を実施しました。今回の講演会では、対馬の地域課題である海洋ごみから中学1年生が生み出したシーグラスと海洋プラスチックのアクセサリーが、昨年末のカンボジアでの教育支援活動を通じて現地へ届けられたことを報告しました。生徒たちは、自分たちの作品が海を越え、平和や希望を届ける“行動する学び”となったことを実感。テーマ「誰一人取り残されない世界~対馬から世界を平和に~」のもと、この1年間に対馬西部中学校の生徒と教職員が積み重ねてきた平和への実践を、なかよし学園が現地からの声とともにフィードバックしました。
講演後の授業では、「戦場の子どもたちに何か大切なものを届けるとしたら、あなたは何で笑顔をつくりますか?」という問いが投げかけられ、生徒たちは自分たちの小さな行動が世界の片隅の平和につながっていることに、大きな誇りと喜びを抱きました。

講演後、新たに託された対馬の海をテーマにした絵本。これからもなかよし学園は対馬から世界平和を発信していく
対馬から世界へ広がるCoRe Loop──海ごみが平和を届ける学びへ
対馬西部中学校となかよし学園の連携は、単発の講演会にとどまるものではありません。2025年7月には、世界の現状や平和構築について学ぶ導入講演を実施。その後、生徒たちは全校で「なかよし PEACE KARUTA(なかよし平和カルタ)」の制作に取り組みました。さらに同年11月の文化学習発表会では、そのカルタがシリアの授業で実際に活用され、現地から寄せられた感謝の手紙や写真、動画が学校へ届けられたことが共有されました。これは、教室で生まれた学びを海外で実装し、その反応を再び教室へ還す、なかよし学園の往還型学習モデル「CoRe Loop」を体現する実践です。

シリアに届いた西部中の「なかよし PEACE カルタ」
そして2026年1月には、対馬西部中学校の生徒たちが探究学習の中で制作した海洋プラスチックとシーグラスのリサイクルキーホルダーが、なかよし学園を通じてカンボジア・シェムリアップ州の避難民支援の現場へ届けられました。作品は現地の子どもたちに手渡されたほか、地雷被害を経験しながらも創作活動を続けるカンボジア人ジュエリーアーティストBel氏にも贈られました。Bel氏は、日本の生徒たちが“海のごみ”と見なされていた素材から新たな価値を持つ作品を生み出したことに強い関心を示し、その発想には未来を変える力があると受け止めています。

カンボジアのBel氏に贈られた西部中のアクセサリー。これからコラボ商品開発が期待される
今回の中学1年生による取り組みの大きな意義は、対馬の海岸に漂着する海洋プラスチックやシーグラスを、単なる“ごみ”として終わらせるのではなく、“誰かを励ます作品”へと変えた点にあります。生徒が制作した英語絵本『Our Project in Tsushima』には、対馬の豊かな自然と海洋ごみの課題を学び、海岸清掃を経て、マイクロプラスチックとシーグラスを活用したキーホルダーづくりへと発展していく過程が丁寧に描かれています。そこには、地域課題を悲観的に捉えるのではなく、行動によって魅力や価値へと転換していく生徒たちの視点が表れており、対馬の課題が世界につながる学びへと変わった瞬間が記録されています。

「世界とつながる」プラットフォームを活かして西部中の生徒は対馬を世界に紹介しながら課題を解決している
教職員の声が示す教育効果──「願う平和」から「行動する平和」へ
講演会後に寄せられた教職員の声からも、今回の学びが生徒個人にとどまらず、学校全体に深く浸透していることがうかがえます。
教務主任の根〆くみ教諭は、「平和に対する生徒の思いや小さな行動が世界につながっている実感を毎回持たせていただき、ありがとうございます」と感謝を述べたうえで、「『願う平和』から『行動する平和へ』。小さな行動や思いがこのような形でつながっていくことに、人の力の大きさを感じずにはいられません」とコメントしました。対馬の生徒たちの実践が、世界の平和構築に確かにつながっていることを、教育現場として強く実感している様子が伝わります。
また、1年担任の西山瑠海教諭は、「目に見える形で私たちの活動のフィードバックをいただき、『私たちでも行動することができた』という達成感を感じると同時に、実際に行動することの大切さを生徒たちと一緒に学ぶことができました」と振り返りました。自分たちの取り組みが海を越えて届き、その反応が戻ってくる経験は、生徒たちにとって“世界とつながる学び”を実感する大きな契機となりました。
さらに、1年副担任の松島紅美教諭は、「中村さんが伝えてくださるリアルは、壁を乗り越えてみようと勇気をもらえる授業です」と評価したうえで、「対馬から何かできないかと考え、海洋ごみでキーホルダーを作りました。海を越え、キーホルダーが届けられた様子を見た生徒は、未経験の達成感を味わったと思います」とコメントしました。地域課題である海洋ごみの問題を、世界の誰かを励ますアートへと変えていくプロセスは、生徒一人ひとりに自己効力感を育み、他者の痛みや希望を想像する力を養う学びとなっています。
これらの声は、対馬西部中学校での実践が、単なる国際理解教育や環境学習にとどまらず、「自分たちにも世界を変える一歩が踏み出せる」という実感を伴った平和教育として根づいていることを示しています。

生徒たちに「世界」を魅せ、対馬も「世界の一部」と教える中村雄一代表
なかよし学園は、今回の講演を通して、対馬から始まった小さな行動が、カンボジアの子どもたちやアーティストとの出会いによって、次の共創へと発展していく可能性を示しました。すでにBel氏と日本側のものづくり関係者による“平和のアクセサリー”共創プロジェクトも始まりつつあり、今後は対馬の子どもたちの表現と、カンボジアの作り手の技術や人生の物語が交差する、新たな国際協働が生まれていきます。海岸に流れ着いた海洋ごみが、国を越えて人の心をつなぐ作品へと生まれ変わる――この実践は、対馬の子どもたちがすでに世界の平和づくりの当事者であることを示しています。
中村雄一代表コメント
「平和は、ただ願っているだけでは届きません。対馬の子どもたちが海岸で拾い、考え、悩み、仲間と語り合いながら、自分たちの手で生み出した作品が、海を越えてカンボジアの子どもたちやアーティストの手に届いた。その瞬間、学びは教室の中だけのものではなく、世界を動かす力になることを証明しました。地域課題であった海洋ごみが、誰かの希望となり、笑顔となり、平和をつくるアートへと変わっていく。対馬の小さな教室で始まった行動が、国境を越え、世界の未来へとつながっていく。この尊い循環を、私たちなかよし学園は、これからも『世界とつながる学び』として、子どもたちとともに本気で育て、広げてまいります。」





対馬の生徒たちの「想い」を届け、彼らの作品を世界平和に活用することで自信と「未来」を創造する。これがなかよし学園のCoRe Loop活動
今後の展開
なかよし学園は今後も、対馬西部中学校での取り組みを、環境・平和・国際協働を横断する実装型探究のモデルとして発展させていきます。対馬の海洋ごみ問題を起点にした学びを、カンボジアとのアート共創や国際教育支援へつなぎ、子どもたちが「支援される側」ではなく「世界に価値を届ける側」として成長していく学びの循環をさらに深めてまいります。CoRe Loopは、対馬のような離島からでも、世界へ向けて行動を起こせることを示す教育モデルとして、今後も国内外へ展開していきます。
団体概要
団体名:特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト
事業内容:世界とつながる学び(CoRe Loop)を軸とした探究・平和・包摂教育プログラムの企画運営/国内外の教育・食・心のケア支援 等
本件に関するお問い合わせ先
特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト(事務局)
E-mail:peace.office@nakayoshigakuen.org