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第4回推薦編「会社員 塚原仁人さん」

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子どもの頃はどんなお子さんでしたか?

幼稚園のときに剣道を始めて、小学校、中学校、高校、大学と続けました。現在、4段です。

私も小学校の3年間だけ剣道やりました。中学入学してすぐ剣道部に入ったんですが、そこが強豪校で練習がめちゃくちゃ厳しくて、友達と一緒に3日で逃げました。(笑)

ははは。私はそれこそ剣道一色でした。当時は県下でも一番の剣道の名門校だった長崎南山高校に入ったのでなおさらですね。

剣道を通じて何か得られたものがありますか?

姿勢が良くなるとか、礼儀正しくなるとか言われますが、高校時代、上下関係が本当に厳しくて、その辛いしごきに耐えるという意味で仲間意識が強かったんです。今でもその頃の仲間とはずっと付き合いが続いています。

失礼ですが、何年のお生まれですか?

昭和43年生まれで45歳になります。

ということは、27~28年くらいずっとお付き合いが続いていると。

そうですね。ただ3年くらい前に、高校の初稽古に参加して練習をしたところ、アキレス腱を切ってしまい手術して入院するという、仕事上も多大な迷惑をかけました。それ以来、怖くて剣道はやっていません。(笑)

いました。剣道部でアキレス腱切った友達いましたよ。

実は大学でも一回切ったんです。その時が左足、3年前は右足。

あれって、ものすごく痛いんでしょ?

もう痛いのなんの。後ろから飛び蹴り食らったような激しい衝撃があるんですが、後ろを振り返ると誰もいないし、何もないんです(笑)。

大変でしたね。

社会人になってからも4段取るまでの数年間は剣道を続けましたが、だんだん仕事が忙しくなって続けられなくなりました。

では基本的にスポーツマン?

ん~。基本的にはそうですかね。でも、当時から比べると25キロくらい太りました。(笑)

あらら(笑)。大学は体育の学校だったそうですね。

そうです。千葉の国際武道大学に行きました。



武道大学ですか?名前だけで何だか怖そうなイメージがします(笑)。

その名の通り武道専門の大学で、剣道部だけでも400人くらい。1学年に100人程度いましたね。

凄いですね。卒業生の進路は、どんなところなんですか?

一番多いのは指導者として教員になる人ですね。あとは警察官が一番多いです。でも、私たちの頃はバブルの全盛期で、それこそどんな学校でもいい企業に就職ができた時代だったので、当時の同級生は様々な分野に進みました。当時でも教員採用試験というのが100人に1人受かるような確率だったので、頑張って教員を目指してもなかなかなれない人が多かったですね。

私はその後、長崎に帰ってきたんですが、実は方向転換して理学療法士を目指した時期がありました。アルバイトをしながら勉強しましたが、なかなか受からなくて…。さすがに親から「勉強は続けてもいいけど、とりあえず就職しろ」と言われました。

親からすれば心配ですからね。

それで企業の求人をいろいろ調べていたんですがなかなかいいところがなかったんです。そこへ後に私の仲人をしていただいた父の友人の方から、新しく立ち上げられた税理士事務所がそろそろ人手が欲しいらしいが、そこにどうだろうかというお話をいただきました。

すごいタイミングですね。

まさしく縁です。でも簿記の知識なんて全くありません。その状態でも当時は「やる気さえあれば何とかなる」と言ってもらい入ることができました。今では入社試験などもきちんと整備されていますから多分絶対に入れませんが、初めての従業員ということで何の知識も経験もない私を受け入れてもらいました。その税理士事務所での経験が、税理士の仕事って素晴らしいなという実感を私にくれたんです。

今までやったことのない仕事に取り組んだ感想はどうですか?

すぐに簿記の専門学校に入って勉強をしながら仕事をさせてもらいました。この事務所で仕事をしながら一番感じたことは、一般の民間企業に進んだ友人たちから、営業先で追い返されたり、時にはいろいろ罵られたりすることもあると聞いていたのですが、税理士の場合は「先生」として扱われて、そのような思いをすることがまずありません。お金をもらう立場なのに、すごく尊敬されて頼りにされて大切にされる商売ですから。これは本当にいい仕事なんだなとつくづく感じました。それが平成3年ごろですから、もう22年も昔のことです。

素晴らしいですね。仕事を続ける中で印象に残るエピソードはありますか?

そこは税務申告と会計監査がメイン業務だったんです。家族的な暖かい雰囲気の小さな事務所でいい職場ではありました。でも資格試験にも限界を感じたし、私自身は人と接する営業のような仕事が好きなので、もっと大きなところで働きたいという願望が強かったんです。それで営業のような仕事をしてみるつもりで、実はその事務所を辞めました。税務申告の時期には明け方4時くらいまで連日仕事だったので本当にきつくて疲労もたまっていました。辞めて1カ月くらいはゆっくりしようと思っていました。ところがまた縁がつながったんですよ。

どういうことですか?

実は私の祖父は長崎大学経済学部の学部長をしていました。今の会社の先代が祖父の教え子で、祖父本人は既に亡くなっていたのですが父とも親しかったんです。それで、私が税理士事務所に勤めていることもよくご存じで、父と会う度に「どうしてる?」といつも気にかけていただいていたようなんです。辞めた直後に父と会う機会があったようで、父が辞めたという話をしたら、辞めた3日後に「履歴書を持ってすぐに来なさい」と電話がかかってきました(笑)。

うらやましい縁ですね(笑)。

正直、税理士事務所は非常に忙しいので、次は別の業種を考えていました。ところがすぐに「いつから来れるか?」という話になってしまって(笑)。でも今の会社が税務処理や会計だけでなく、お客さまの経営サポート業務がメイン業務だということが分かってとても興味を持ちました。それから入社して実際に経験を積む中で、今の会社に入って良かったなあとつくづく感じました。

同じ業界ではあるのですが、やる内容が全く違っていました。仕事がすごく楽しいし、勉強になります。でもそれは同時に、既に税理士事務所で働いた経験があるからこそ味わえることなんです。

なるほど。以前の事務所の経験が活きたんですね。

そうなんです。何も分からないままに入った税理士事務所で育てていただいた体験がこうして活きるということに本当に不思議な縁を感じます。今の会社が経験者を中途採用したのも私が初めてだったそうです。申告業務はできる訳ですから、割とすぐに仕事を任せてもらえました。そして当時は税務申告以外の知識はないので、今の社長に経営計画、経営サポート業務をみっちり叩きこまれたからこそ今の自分があります。

もともと人と接する仕事がしたかったのですが、当時の税理士業界は営業活動がタブー視されていた時代。税理士の先生がお客さまから紹介をもらうというのが通例の世界でした。でも当時から職員でも営業に取り組むというのが今の社長の方針で、その下で経験を積ませてもらいました。私の性格にもピッタリとマッチしたので、そういう意味でもこの会社は私に合っています。

業界的にはちょっと型破りな会社だったのですね。

そうです。取り組みとしては先進的なところがありました。業界の勉強会で取り組みを発表すると非常に驚かれることも多かったですね。だから仕事が楽しくて仕方ありませんでした。

本当に縁で導かれたようなキャリアですね。

剣道部時代の友人からは「なんでお前が?」と驚かれます。

確かにそうでしょうが、スポーツマンタイプなので、お客さまからの受けはいいんじゃありませんか?

そう思いたいんですけどね。ともかく経営者の方とお話させていただくのが楽しくて仕方ありません。

そういえば商工会議所青年部の会長をされていたと伺いましたが。

そうです。昨年31代目の会長を1年間させていただいたのですが、もう本当に大変でした。公的な立場でもあるので、いろんな行事に呼ばれて出席することが少なくありません。サラリーマンで1年間の任期最後まで務められたのは私だけらしいのですが、これは社長はじめ会社の皆さんの協力がなかったら絶対にできないことです。

実は今の社長は第20代の青年部会長を務めたのでよく理解してもらっていたのだと思います。本当にありがたいです。



たくさんの人たちに支えられて幸せですね。

本当に幸せです。会長になると、全国の大会などにも呼ばれて行くのですが、グルメに関しても、その土地土地の美味しいものなどを食べて回ったりするので、それをフェイスブックにアップしたりしていました。今回、安達常務からこの企画に紹介していただいたのも、そんな活動を見ていただいたからだろうと思います。

そうやっていろいろ食べていくと段々舌が肥えていくのでしょうね。

そうですね。その土地の美味しいものを調べたりするのも楽しいですし、思いがけないものを発見したりする楽しみもありますから。

ところで、今回ご紹介いただくお店はどちらですか?

知る人ぞ知るという長崎市辻町の「焼肉 真」というお店です。

え? 焼肉屋さんですか?

そうです。この店を経営されているのは長崎で唯一の内臓系のホルモンの卸業者さんです。実は昔、浦上駅近くの浦上百貨センターの中にホルモン屋さんがあって、私はいつもそこでバーベキュー用のホルモンなどを買っていました。ところがいつの間にか店がなくなって残念に思っていたところ、実は辻町に移転されていましたが私は全然知りませんでした。

その移転したホルモン屋さんが横に焼肉店を始められたということで2年位前に初めて食べに行ったのがきっかけです。今はホルモン屋さんの方は長与に移転されて、辻町は焼肉屋さんだけです。

卸専門店の肉というのは、やはり違うのでしょうか?

違いますね。通常は卸業者さんから店に卸されて販売過程を経ますが、卸専門店の肉だからなのか、鮮度が違うのがよく分かります。

なるほど。

その上、「出島ばらいろ」というブランド肉の専門店なので、その肉しか使っていません。以前、グルメ番組で「出島ばらいろ」のステーキを出しているお店が紹介されていましたが、非常に高額でした。でも、こちらでは比較的安価に楽しむことができます。長崎市辻町という決して便利な場所ではありませんが、行く価値は十分あります。

立地的にはとても不利なところにありながら、週末はまず予約なしには入れません。「出島ばらいろ」の特徴なのか、次の日あまりもたれませんね。実際に肉を焼いてみたら分かりますよ。

なるほど。ブランド肉の専門店というのは凄いですね。塚原さんはこの店のどんな点が気に入ってらっしゃるんですか?

ともかく美味しいし、肉の鮮度がいいということですね。それからここの接客が好きなんです。若い店員さんが多いのですが、職業柄お店の接客などをすぐ観察する癖があるんですけど、そういう意味で好感持てる接客だと思います。頻度としては月に1回から2回は行きますね。

焼肉屋さんで月1回から2回というのは、結構多いですよね。

それくらいハマっているんです。いろんな友人を連れて行くんですが、その友人が後日また他の人を連れて行くみたいです。そうやって紹介の連鎖が続くんですよ。私はこの店ではセットをあまり頼みません。好きなものを単品で好きなだけ食べます。セットだともう少し安くなるのでしょうが、単品で好きなものを食べても、5,000円~6,000円くらい。非常にリーズナブルです。

普通、セットでもそれくらいはするでしょうから、確かに安いですね。そこにはどんな方と行かれますか?

そうですね。身内の他には商工会議所青年部の仲間とか、だいたい友人関係が多いんです。仕事での接待はないので、気の合う仲間と美味しいものを楽しく食べてという感じですね。お連れした皆さんが「ここは違うね」と言ってもらえるのが一番うれしいです。

一番のお薦めは?

個人的には「上ハラミ」が大好きで、毎回注文します。あとは「マルチョウ」ですね。もうひとつ「出島ばらいろ」のうまさを一番感じられると思うのは「焼きしゃぶ」です。出島ばらいろの中でもいい部分を本当に薄切りにして、さっと鉄板で焼いてポン酢でいただくんです。もう絶品ですよ。

うまそうですね。この店はどんな使い方をしたらいいでしょうか?

普段会えない家族が集まった時とか、ちょっとしたイベントの後の打ち上げなどでしょうかね。そういうケースが多いと思います。

なるほど。聞いているだけで行きたくなります。

実は以前、足繁く通った店もあるのですが、この店で食べてからはどうしてもこちらになりますね。鉄板の状態などもよく管理されているので、焼くのも焼きやすくて肉の良さを一層引き立てると思います。それにキャベツやサンチュは無料サービスで食べ放題ですからとても良心的です。

それはいいですね。最後に読者の方に推薦の言葉をお願いします。

新鮮で良質の肉がリーズナブルに食べられるところがお薦めです。いつも紹介する時はそう言ってます。本当のことですから(笑)。

分かりやすいフレーズをありがとうございます(笑)。今日は楽しいお話をありがとうございました。

こちらこそ、楽しかったです。ありがとうございました。

笑顔が素敵なスポーツマンの塚原さん。これからも多くの人たちを笑顔にしてくれることでしょう。次回店舗編「焼肉 真」をお楽しみに。

■塚原仁人さん
昭和43年長崎市生まれ。
税理士事務所勤務を経て現在、株式会社永田会計 MS第2課課長
第31代 長崎商工会議所青年部会長

(文責・長崎経済新聞編集部 田中康雄)

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毎回、読者代表の方からお気に入りの一軒を皆さんにご紹介いただくとともに、次の紹介者も推薦していただき、またお気に入りの一軒をご紹介いただくという、リレー形式での長崎密着グルメ情報を発信していきます。

第一、第三月曜日は推薦編を、第二、第四月曜日は推薦された店舗編をそれぞれ配信する予定です。

次回は第4回店舗編「焼肉 真」をお届けします。どうぞ、お楽しみに。

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