石丸文行堂(長崎市浜町、TEL 095-828-0140)6階イベントホールで6月26日、書道団体「墨翠(ぼくすい)会」の作品展が始まった。
同会が1985(昭和60)年の設立から30周年を迎えたことを記念して初めて開いた社中展。社中展とは、主催する書道会の会員だけの作品展を意味する。展示される作品は幼稚園児から一般成人まで自由にさまざまな形式の作品に挑戦したもの。
同展の案内係を務める同会所属の書道家・山下草碧さんは「書道に親しむ人以外には敷居が高いというイメージがある書道展。今回は初めての社中展ということもあり、書道に詳しい人も初心者の人も、誰もが楽しめるように工夫した」と説明する。
入り口近くで最初に目に入るのは、「ひらがな」になる以前の漢字を一字ずつ書いた色紙がずらりと並ぶ「かんじであいうえお」。小学生の会員が書いたもので、中には唯一の幼稚園児が書いた「曽(そ)」も。山崎好翠会長の屏風作品「雲蒸龍変」の脇には晩酌をするコミカルな夫婦の人形が添えられており、山下さんは「会長が寂しくないように」とほほ笑む。
本格的な一般の作品に混じり、高校生が長崎凧(ハタ)に書いた作品や、一字一字を石に金文字で書いた内藤洋翠さんの「十二支」、5人の会員が「白雲抱幽石」という同じ課題を「篆書(てんしょ)、隷書(れいしょ)、楷書、行書、草書」と時代順の書体で並べたユニークな作品などもある。
山下さんは同展終了後、フランスで行われる凧揚げ大会「A TOUT VENT」(7月3日~6日開催)に参加するため渡仏する。現地では書道の指導とフランス語の通訳を担当する予定で、展示中の作品「魚字尽」を持参するという。「魚の文字が入っている漢字だけを集めて魚の絵を描いている。アート好きのフランス人には受けると思う」と自信を見せる。
開催時間は10時~19時(最終日は18時)。観覧無料。28日まで。