長崎市を中心に活動する一般社団法人「長崎ライフオブアニマル」(諫早市)が12月12日で15周年を迎えた。
同法人代表の木村愛子さんは長崎市中心部の居留地エリア出身。福岡で暮らしていた木村さんは2009(平成21)年に帰郷したところ、長崎は殺処分が全国でもワーストトップクラスの常連県となっている実態を知った。「行き場を失う動物たちに全力で手を差し伸べたい」と同年11月、長崎市動物管理センターに収容されていた2匹の犬を引き出した。「人間によって命を左右される動物を救いたい」と同年12月、動物愛護団体「長崎ライフオブアニマル」を設立。「どんな命も諦めない」をスローガンに活動を本格化させた。
飼い犬が迷子になった際の返還率を高めるため、名札の装着や飼い主への啓発活動に力を注ぐ、一方、2011(平成23)年5月には多頭飼育崩壊の現場に初めて介入。「命の最後のとりでを作りたい」と2014(平成26)年4月、保護施設「ティアハイム」(長崎市上戸石町)を開設。同年には木村さんの努力が実り、長崎市での犬の殺処分ゼロが実現し、以降も10年以上にわたり、記録更新を継続している。
2022年11月に保護施設「ティアハイムセカンド」(諌早市)を開設し、今年5月に一般社団法人化。現在は2拠点の保護施設に約100匹の保護犬を収容し、保護しながら、各地で譲渡会を行うとともに福岡や東京の動物愛護団体とも提携して里親を募集。今年6月には過酷な環境で繁殖を繰り返す業者から50匹以上の猫を保護するなど、活動の幅を広げている。
今月1日、ティアハイムセカンドで開催した記念イベント「ライフ横丁」を保護犬の里親になった田崎相さんと共同で企画。田崎さんは2年前にシェットランド・シープドッグの里親になったことがきっかけで同団体の活動を知り、支援などを行ってきた。
当日は会場に屋台や15年の歩みを振り返るパネルを展示するコーナーを設置。500人以上が訪れ、フランクフルトやおでん、コーヒーなどを味わいながら15周年を祝った。田崎さんと共に企画したチャリティーTシャツは海外ドラマのワンフレーズから「Everybody counts.(どんな命も尊い)」をテーマにデザイン。用意した60着が完売した。このほか、オーガニックだけでなく動物実験を行わない製品開発に力をいれるボディーケア・ハウスケアブランド専門店「YOPE長崎店」(浜町)も出店し、イベントを盛り上げた。
イベントに訪れていた田口さん夫婦も同法人から保護犬を譲り受けた。3年半ほど前に愛犬を亡くし、ペットロスに苦しんでいたときに木村さんに出会ったという2人。「こんな悲しい思いをするならペットを飼うことはもう無理」と考えていた2人に「あなたのような人こそ、そばにいてくれる子が必要」と木村さんが後押しして、現在7歳になる愛犬モアの里親になることを決めた。2人は「モアが来てくれたことで私たちが救われた。木村さんに出会うまでペットショップのガラス越しに見るペットしか知らなかったが、人知れずひどい扱いを受けている動物がいることを知った。保護犬や保護猫を迎えることが選択の一つとして、もっと広まってほしい」と話す。
「どんな命も絶対に助けるという思いで活動を続けてきた」と振り返る木村さん。「これまでと変わらず、この思いを大切にしながら活動を続けていきたい」と前を向く。