
長崎の夏の風物詩にもなっている伝統的な舟競争「ペーロン」の体験イベント「文化にふれてみよう!」が7月21日、琴海さざなみ会館(長崎市琴海形上町)横の艇庫前で開催される。
45尺(13.6メートル)ほどの細身の和船に20人ほどのこぎ手が乗り、太鼓やドラの音に合わせて櫂(かい)をこぐペーロンは、江戸時代初期に嵐で大きな被害を受けた唐人が海神様の怒りを静めようと競漕(きょうそう)を行ったことが起源とされる。県内各地に広まり、琴海地区では雨乞いの神事として始まり、大正時代に尾戸・長浦・形上の3地区の競漕が行われるようになった。現在では毎年6月下旬、形上湾で地区対抗のペーロン大会が行われている。
全員の息が合わないとうまく進むことができないペーロンは学校行事や研修にも適していることから、同地区では体験ペーロンの受け入れも行ってきた。日程など細かい調整が必要になることから地域のペーロンに携わっていた川添石材彫刻店(西海町)の川添達朗専務が一昨年、「琴海みんなの公社」(長崎市西海町)を立ち上げ、協会の協力も得ながら体験ペーロンを引き継ぎ、運営を担ってきた。
イベントではペーロン櫂のペイント体験と体験乗船を行う。ペイント体験は長年使ってきたペーロンの櫂が傷んできていることから、「子どもたちに伝統文化であるペーロンを守り、触れる体験をしてほしい」と企画。やすりで磨いた櫂に好きな色をペイントして変身させることができる。参加者には「伝統文化守り隊」の隊員証を進呈する。材料代500円が必要。体験乗船では同地区のペーロンの始まりに由来する水神様にお参りして願いを込めて石を投げ入れる。
企画した同社の福江純代さんは結婚を機に2年ほど前に福岡から移住。「長崎ならではの伝統文化の素晴らしさや地元の人の思いに触れた」と振り返る。「ペーロンが行われる地域では初夏になると鐘の音やペーロンをこぐかけ声などが風物詩になり、大会では地区同士のプライドのぶつかり合いとして熱い戦いを繰り広げる一方、地域同士がつながるきっかけにもなっている。地元でも子どもたちでも学校で年1回行う体験ペーロンくらいしか乗る機会がないことから、伝統文化に触れるきっかけにしてもらえれば」と来場を呼びかける。「夏休みの自由研究の一環として地元の文化を知るきっかけにしてもらえればうれしい」とも。
開催時間は9時~12時30分。乗船体験は9時30分~、10時30分~、11時30分~の3回。参加費は2,000円。