見る・遊ぶ 学ぶ・知る

琴海みんなの公社、琴浦「体験ペーロン」引き継ぎ半年 秋期体験始まる

櫂のこぎ方をレクチャーする川添さん

櫂のこぎ方をレクチャーする川添さん

  • 13

  •  

 長崎の夏の風物詩にもなっている伝統的な舟競争「ペーロン」の体験サービスを「琴海みんなの公社」(長崎市西海町)が始めて、10月で半年を迎えた。

体験ペーロンの様子

[広告]

 ペーロンは江戸時代初期、長崎港に停泊していた唐船が嵐で大きな被害を受けたことから、在留の唐人たちが海神様の怒りを鎮めようと競漕(きょうそう)を行ったことが始まりとされる。県内各地に広まり、現在、20以上の地区で行われている。琴海地区では当初、雨乞いの祈願として行われていたが、次第にスポーツとして変化を遂げ、大正時代に尾戸・長浦・形上の3地区の競漕が始まった。現在では毎年6月下旬、形上湾で地区対抗のペーロン大会が行われている。

 45尺(13.6メートル)ほどの細身の和船に20人ほどのこぎ手が乗り、太鼓やドラの音に合わせて櫂(かい)をこぐペーロン。全員の息が合わないとうまく進むことができないことから「学校行事や研修などにも適している」と、内海で穏やかな大村湾の特色を生かし、同地区のペーロン協会が体験ペーロンを受け入れていた。

 体験ペーロンは修学旅行の一環として利用されることも多いが、日程など細かい調整が必要となることから協会で手が回らなくなってきていた。地域のペーロンに携わっていた川添石材彫刻店(西海町)の川添達朗専務が同社を立ち上げ、協会の協力も得ながら4月に体験ペーロンを引き継ぎ、運営を担っている。

 春と秋を中心に行う体験ペーロン。修学旅行で長崎を訪れていた鹿児島市立南中学校の4クラス約140人の生徒が参加して10月4日、秋季初の体験を行った。琴海文化センター(長浦町)の駐車場で川添さんからペーロンの説明やこぎ方のレクチャーを受けた後、クラスごとに2班に分かれた生徒らは前半・後半に分かれて目の前の桟橋から4隻のペーロン船に乗り込み、沖へとこぎ出した。各船に乗った指導員が「櫂は海に突き刺すようにこぐとうまく進める」などとアドバイスしながら20分ほど練習し、最後はクラス対抗でタイムを競った。初めは「こぎ方が難しい」と苦戦する生徒もいたが、競争を終えた生徒らは「楽しかった」などと笑顔が見られた。

 2班の競漕が終わると再び駐車場に集合した生徒らを前に各クラス2班の合計タイムで競った結果を発表。1位のクラスが発表されると歓声が上がる一幕も。優勝クラスには川添さんが記念の「ミニ櫂」を贈った。

 現在は修学旅行を中心に受け入れているという体験ペーロン。川添さんは「船に乗ったメンバーで心を一つにできた時、何とも言えない達成感を味わうことができる。地元でもペーロンがない地区の子どもたちの体験や企業研修などとしても受け入れていければ」と意気込みを見せる。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース