ナガサキピースミュージアム(長崎市松が枝町)で4月3日、写真展「軍艦島 記憶の中で生き続けるものたちへ」が始まった。主催はNPO法人「軍艦島を世界遺産にする会」。
今年、同会が発足10周年を迎えたことを記念して、炭鉱で栄えた同島の生活を今に伝えようと当時の写真約60点と模型などの展示を企画したもの。長崎港から南西19キロメートル沖合に浮かぶ通称「軍艦島」こと端島は明治時代に炭鉱の島として整備され、最盛期の1960年には約5000人が生活していたが、1974(昭和49)年に炭鉱が閉山された後は無人島となり、以来一般の上陸は禁止されていた。
ところが日本初の鉄筋コンクリート造りの30号棟などが島内に現存することなどから、2009年に世界遺産暫定リストに掲載され、同年4月より開始された上陸ツアーは、2011年10月には約20万人が上陸し、長崎の新たな観光資源として最近では修学旅行にも組み込まれている。
今回展示されている模型は30号棟をはじめ同島最大のアパート65号棟、プールで泳ぐ子どもたち、炭鉱で使われたトロッコ、ドルフィン桟橋、神社、お寺などを再現。同会理事長で上陸ツアーのガイドとしても活動する坂本道徳さんは、小学校6年から高校生まで端島で生活し、大学進学後も閉山時まで両親の住んでいた端島は故郷そのものだと振り返る。
「写真に加え150分の1の模型を見ることで私たちの記憶の中に生きる炭鉱の島のにぎわいを少しでも感じてもらいたい。現在のがれきに埋もれた島の姿と対比しながら、単なる廃虚ではなく、たくさんの人々の営みが島の中にあったことを知ってほしい」と坂本さんは企画展への思いを話す。
画家・藤城清治さんが描く軍艦島や長崎市内在住のイラストレーター・江島達也さんの作品5点と、カメラマン・八木拓也さんの作品4点も展示している。
開館時間は9時30分~17時30分。入館無料。4月22日まで(9日・16日は休館)