長崎水辺の森公園(長崎市常盤町)で9月2日、市民エキストラが参加する中、映画「池島譚歌(いけしまたんか)」のラストシーン15分の撮影が行われた。
同作品は、親と子の絆をテーマに、かつて炭鉱の町として反映していた池島(長崎市)を舞台に小学生の男児が友情の大切さや命の尊さを知っていくヒューマンドラマ。7月25日から島内で撮影をスタートし、同日クランクアップを迎えた。
長崎水辺の森公園、長崎県美術館、出島ワーフ三角広場を縦断する全長約1キロのカメラレールが設置され、主人公の少年・諒一の青年期を演じる金子昇さんが歩くシーン、ヒロイン・知子を演じる富永沙織さんと対面するシーンを撮影。レールの周辺には、一般公募および当日飛び入り参加によるエキストラも参加した。
同時に1キロのレール移動撮影でギネス世界記録を目指した。レール移動による撮影手法の現在の最長記録は約300メートル。当日は全国から集めた715メートルのレールを事前に設置。残り285メートルのレールは撮影が済んだエリアのレールを外して移動し、最後のエリアへ継ぎ足した。
撮影会場には「映画『池島譚歌』製作を支援する会」「池島譚歌を応援する会」らが呼び掛けたボランティアスタッフ約140人が参加し、会場のレール設営管理やエキストラ参加者の誘導などに携わった。
撮影前に荻野欣士郎監督は「池島は家族の島。家族は帰るところでもある。レールを継ぎ足すということも人生。皆さんも人のレールをもらって継ぎ足すこともあると思う。ギネスに挑戦したのは、大人が子どもたちの希望であってほしいから。みんなで世界一になりましょう。主人公をゴールまで連れて行ってください」と呼び掛けた。
ラストシーンは、母親が残した石炭の意味を主人公が知る重要なシーン。「人は0(ゼロ)から始まるのではなく母親からもらった体重から始まる」という意味が込められているという。エキストラとして参加した人々は、自分の名前と生まれたときの体重を記載した紙を手に持ち主人公を応援する。
カメラテストから本番終了まで約1時間の撮影が完了し映像チェック後、監督から「オーケー」の声が掛かると公園内に一斉に参加者らの歓声が響いた。
「池島譚歌製作を支援する会」会長で池島在住の近藤秀美さんは「周囲4キロの池島の人口は激減し300人を切っている。島民一同、映画をきっかけに島の活性化に向けて真剣に取り組んでいく」と力を込める。
公開は2013年秋を予定する。一般公開に先立ち完成披露試写会を来年2月12日に長崎市公会堂で実施する。応援チケット1,000円を発売中。詳しくはホームページで確認できる。