長崎市内の伝統芸能を次の世代へ伝承するため毎年開催されている「長崎郷土芸能大会」が10月3日、開催される。
長崎市内には376年の歴史をもつ「長崎くんち」以外にも数多くの伝統芸能や近年生まれた郷土芸能が数広く存在する。こうした郷土芸能を若い世代に引き継ぎ伝え続けていくため、実際の開催時期や場所が異なる伝統芸能を1カ所に集めて公開するもので、35回目を迎える。
今年の出し物は、安珍清姫(あんちんきよひめ、式見地区)、間の瀬狂言(まのせきょうげん、東長崎地区)、崎上浮立(さきあげふりゅう、三重地区)、住吉コッコデショ(すみよしこっこでしょ、西浦上地区)、かき道浮立(かきどうふりゅう、東長崎地区)、滑石竜踊(なめしじゃおどり、西浦上地区)の6団体。
式見地区の「安珍清姫」は、約160年前に和歌山県の道成寺に伝わる清姫伝説の物語を郷土出身の古老が旧式見村松崎(現在の四杖町)に伝えたのが始まりと言われている。雨ごいや各種の祝賀行事で披露されていたが、30数年の空白期間を経て近年復活され、式見乙宮神社で8年ごとに奉納されている。
「コッコデショ」は長崎くんちでも樺島町が7年に一度の踊町(おどりちょう)の年に披露される伝統芸能。長崎では有名な樺島町の他にも矢上地区、式見地区、住吉地区などで継承されている。太鼓山とも呼ばれ、座布団を逆さまに積み上げたような形をしたみこしを担ぎ手たちが勢い良く空中に放り上げ、全員で同時に片手で受け止める豪快なもの。住吉コッコデショは3年に1度披露され、今年は10月10日・11日の住吉まつりで見られる。
「浮立」は長崎をはじめ佐賀や福岡、熊本など西九州方面に広く分布する伝統芸能。太鼓や鐘を打ち鳴らし、おそろいのかぶり物をして集団で演舞するもの。地区によってかぶり物の色や形などに大きな特長がある。
毎年楽しみに見ているという20代の男性は「長崎市中心部に住んでいるので毎年楽しみにしている。たまたま知ったという観光客の人が喜んで見ることも多い。いろんな伝統芸能を1カ所で見られるというのは全国でも珍しいのでは」と話す。
今年の大会は長崎市公会堂前広場で13時から開演。観覧無料。10時30分からは崇福寺を出発して長崎市中心部の浜市アーケードを通り、公会堂前広場までのパレードも予定されている。問い合わせは長崎市文化財課(TEL 095-829-1193)まで。