長崎で活躍するトロンボーン奏者の「シバケン」こと柴田健一さんが11月8日夜に紛失したスマートフォンが見つかって警察に届けられ、フェイスブックに「いいね」が集まっている。
柴田さんは長崎市出身。6歳からピアノのレッスンを受けていたが、中学入学と同時に吹奏楽部に入りトロンボーンを始めた。長崎大学軽音楽部ではジャズトロンボーンに傾倒。第2回IMSジャズコンテストで優勝。NHKビッグバンドコンテストではベストプレーヤー賞を受賞した。世界的ジャズプレーヤーの故・エルヴィン・ジョーンズさんや穐吉(あきよし)敏子さんと共演したこともある。2006年にソニックボーンミュージックを主宰。長崎を拠点としてジャズを基調としながらも、ジャンルにとらわれない音楽活動を行っている。
事の起こりは8日金曜日の夜。長崎市花丘町で食事をした後、タクシーで帰宅した柴田さん。翌朝、買い替えたばかりのiPhone5s(スマートフォン)がなくなっていることに気付いた。慌てて自分のスマホの番号に電話を掛けるが、電池切れのためか留守電に切り替わる。GPS機能を利用した「iPhoneを探す」を利用しようとしても本体が電池切れでは利用できない。柴田さんは記憶を頼りに、ほとんどのタクシー会社に電話をかけ、タクシー協会や個人タクシー協会にも掛けたが見つからず。警察に遺失物届を出した。
「必死に記憶をたどるが確信できるものがない。スマホがないと仕事にも支障が出るので、わらにもすがる思いで…」柴田さんはフェイスブックに以前撮影していたスマホの写真を投稿した。9日11時5分に投稿された写真に付けたメッセージは「こいつを見かけた人は、ご連絡ください。困った・・・。電源落ちてるから探せず」(ママ)。最初に届いたコメントは「警察には届けましたか?」。続いて「iPhoneを探すアプリは入れていましたか?」と心配する友達からコメントが集まった。投稿をシェアする人もいた。
柴田さんは方々手を尽くすが見つからず。日付が変わり10日1時39分の投稿には、「相変わらずiPhone見つからずの私です><。考えても仕方ないから、考えないようにしてますが、、無理です><」(ママ)と、動揺している様子が伝わり、気遣うコメントも友達から次々に入る。
その日は関係ない投稿も数件するが、やはり気になり21時31分に長崎県警の落し物ページのURLを投稿。「結構まめに更新されてるこのページをチェック中。そしていろいろなものが落とされて忘れられて、、拾われて、届けられて・・・。届けてくださーい!」(ママ)の投稿については「届けてくださいという声は、実は『助けてくださーい』という心の声」だったと柴田さん。
翌11日11時21分の投稿では覚悟を決め、「このまま電話とメールが使えないのは不便なので、本日iPhone4sに火入れします。昨日、ショップで5sの入荷状況聞いたら、予約後だいたい一週間~10日で入荷しているそうです。見つかるのが一番いいのですが・・・。東大元暮らし、いや灯台もと暗しって事がないか、もう一度家の中も大捜索する」と最後のあがき。
そのわずか1時間30分後。「見つかった!」との短い投稿に、「マジっすか!」「よろしゅうございました」「おめでとうございます\(^o^)/」など多くのコメントが寄せられ、130を超える「いいね」が集まった。諦めた柴田さんが旧機種を持って携帯電話販売店に「逆機種変更」に行ったところ、「おや?お客さま。見つかって警察に届けられたようですよ」と、地獄から一気に天国へ。所轄の警察署で、めでたく愛機を受け取った。
電池切れのスマホはタクシーの中で発見され警察に届けられたが、「会社名は伝えないでほしい」とタクシー会社から要請があったという。柴田さんは「どこのタクシー会社かわからないが、ちゃんと届けていただき感謝の気持ちでいっぱい。今後はなくさないように気をつける。大変お騒がせしました」と頭を下げた。