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映画「ペコロスの母」、長崎4館で公開-主題歌「霞道」配信へ

舞台あいさつの様子を記録する「東風」の木下社長(デジカメを構える後ろ姿の男性)

舞台あいさつの様子を記録する「東風」の木下社長(デジカメを構える後ろ姿の男性)

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 長崎在住の漫画家・岡野雄一さん原作の映画「ペコロスの母に会いに行く」が11月9日、長崎県内の映画館で全国に先駆けて封切られ、岡野さんが舞台あいさつに立った。

別称「霞道」と呼ばれる「六角道」。道路の中心に大木が連続して立つ。

 舞台あいさつしたのは、ユナイテッドシネマ長崎(長崎市尾上町)、TOHOシネマズ長崎(茂里町)、シネマボックス太陽(佐世保市)の3館。ユナイテッドシネマ長崎では10時から始まった初回上映後、100人近い観客の前に岡野さんが姿を見せた。司会は、ラジオパーソナリティーで同作品の方言指導を担当した栗原優美さんが務めた。

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 栗原さんが「最初は岡野さんにビール一本で頼まれ、ちょっとだけ手伝うつもりだった。でも岡野さんが指導していた長崎弁自体が間違っていたのでラジオに関わる者として納得できず、本格的に方言指導することになった」と明かすと会場に笑いが起きた。岡野さんは「ロケ現場で『この植木等風のおじさんは誰だ?』と思ったら、見事に二枚目オーラを消し去った加瀬亮さんだった。その姿が若いころの父そのもので、あまりの懐かしさに感動して涙と鼻水まじりの顔になったところをドキュメンタリー撮影のカメラマンに激写された」と出来栄えの素晴らしさを語った。

 会場をTOHOシネマズ長崎に移して舞台あいさつに立つと、観客の中に「ペ・コ・ロ・ス」と描いた「手作りうちわ」を持った応援団の姿も。岡野さんは「ユナイテッドで『三重から来ました』という女性がいたので、驚いてよく聞いてみたら『三重から嫁いで来ました』だった」と、ここでも会場の笑いを誘っていた。この後、一行は佐世保市にある「シネマボックス太陽」へ向かった。

 配給を担当する「東風(とうふう)」の木下繁貴社長(38)は長崎県諫早市高来町出身。日本映画学校卒業後、フリーの映像制作から映画やCMを製作する会社の配給宣伝部に所属。2009年に公開予定だったドキュメンタリー映画の映像の一部をカットするかどうかで会社と意見が分かれ、納得できない木下さんは会社を辞めて同社を設立。自分たちで同作品を配給したが、さっぱりヒットしなかったという。その後も主にドキュメンタリーの配給に力を入れている。「ペコロスの母に会いに行く」を企画した映像プロダクションの井之原社長と以前から親交があり、企画にほれ込んで配給を引き受けた。

 「自分たちの役割は、いい映画を見たい人たちにただ届けるだけ。映画が直接世の中を変えるとは思わないが、きっかけは作れるかもしれない」と話す木下さん。その風貌から、上映会の会場で岡野さん本人に間違われたこともあったという。

 シンガー・ソングライターの一青窈(ひととよう)さんが歌詞を書き下ろし、自ら歌う主題歌「霞道(かすみじ)」は今月13日、「iTunes Music Store」で先行配信される。

 霞道とは、日本銀行長崎支店と長崎県立図書館の間を通る通称「六角道」と呼ばれる道路の別称。下から見るとユラユラする霞のように見えるところから名付けられたともいわれているが、定かではない。市民の生活道路として30年ほど前に舗装整備されたその急斜面道路は、樹齢700年~800年ほどの大クス群の中を縫うようにクネクネと急カーブが続く。途中、道路の真ん中に大木が生える場所があり、一番狭いところでは道幅が170センチほどしかないため大型車は通行できない。地元のドライバーが大木をうまく避けながら難なく通行する不思議な光景が見られるその場所は、長崎の名所としても知られている。道路の敷地はもともと、諏訪神社の敷地内「諏訪の杜(もり)」に当たる場所で、大クスは大切な「ご神木」。道路整備の際にも切り倒すことができず試行錯誤の結果、「ご神木」を避けて道路を整備することになったという。

 全国公開は今月16日。