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映画「ペコロスの母に会いに行く」、長崎県内で先行封切りへ

エキストラ出演した時の大原万里亜さん(左)

エキストラ出演した時の大原万里亜さん(左)

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 長崎在住の漫画家・岡野雄一さん原作の同名映画「ペコロスの母に会いに行く」が11月9日、全国公開に先駆け、長崎県内の映画館で先行公開される。

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 昨年1月に岡野さんが500部だけの漫画を自費出版したことがきっかけに製作された同作。映像プロダクション社長の井之原尊さんの目に止まり映画化が企画されたが、資金調達の壁が立ちはだかった。岡野さんの自費出版本を通信販売する作業を手伝っていた音楽プロデューサーの村岡克彦さんと井之原さんは「こうなったら自分たちで資金調達しよう」と決意。フェイスブックを通じた資金調達を始め、毎日東奔西走する中で徐々に協賛する企業も現れて映画の製作資金が集まり、映画化が実現。プロデューサーは村岡さんが担当することになった。

 脚本は若いころ、漫画家デビューした異色の経歴を持つ脚本家・阿久根知昭さんが担当。通常、ストーリーがつながらない4コマ構成の原作漫画を脚本化するのは極めて困難を伴うが、数多くの脚本を手掛けた力量を発揮し、映画として一本のストーリーに仕立て上げた。監督は今月19日に86歳の誕生日を迎える森崎東さん。野村芳太郎監督、山田洋次監督の助監督を務め、1969(昭和44)年「喜劇・女は度胸」で監督デビュー。「男はつらいよ・フーテンの寅」「時代屋の女房」「釣りバカ日誌スペシャル」「美味しんぼ」などの映画のほか、「はぐれ刑事」「必殺シリーズ」などテレビの演出も手掛けてきた喜劇の巨匠だ。

 撮影は映画「おくりびと」で日本アカデミー賞・撮影賞を受賞した浜田毅さん、音楽は映画「千と千尋の神隠し」の音楽プロデューサー・大川正義さんがそれぞれ担当。主題歌「霞道(かすみじ)」は、原作漫画に感動したシンガー・ソングライターの一青窈(ひととよう)さんが、長崎県立図書館横を通る曲がりくねった道路をイメージしてオリジナルの歌詞を書き下ろした。

 主役の母・みつえを演じるのは赤木春恵さん(89)。ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」の名物姑役で有名だが、主役を演じるのは今回が初めて。8月に行われた長崎先行上映会では舞台あいさつに立ち元気な姿を見せた。もう一人の主役・ゆういちを演じるのは岩松了さん。原作者の岡野さんと同世代で、長崎県川棚町出身。俳優であると同時に演出家・劇作家でもあり、2011年公開の映画「RAILWAYS愛を伝えられない大人たちへ」や、テレビドラマやCMなどにも多数出演している。同じ舞台あいさつでは「ヅラ」の脱着作業に合計4時間以上かかる苦労話を取り上げ、「一体、誰のせいでしょうか?」と岡野さんに謝罪を求め、観客の笑いを誘う場面も。

 出演はほかに若き日の母を原田貴和子さん、若き日の父を加瀬亮さんがそれぞれ好演。原田さんの実妹の原田知世さんとの姉妹共演も20年ぶりに実現したほか、竹中直人さんと佐々木すみ江さんが親子役で共演。温水洋一さんが実在の喫茶店「銅八銭」のマスター役で出演している。ほかにも根岸季衣さん、穂積隆信さん、白川和子さん、正司照枝さん、宇崎竜童さん、大和田健介さん、松本若菜さんなど老若男女入り交じった幅広い俳優陣が出演する。

 ユナイテッドシネマ長崎(長崎市尾上町)では9日の初回上映後、12時5分から原作者・岡野さんの舞台あいさつが行われる予定。長崎県内ではほかに「TOHOシネマズ長崎(茂里町)」「長崎セントラル(万屋町)」「シネマボックス太陽(佐世保市)」で上映される。

 女郎役でエキストラ出演した大原万里亜さんは「撮影の緊張感漂う中、夢のようだと感激していた。すてきな作品に関われて幸せ」と振り返る。全国公開は16日から。

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