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長崎で40年間病床の女性が作った詩にミュージシャンが楽曲提供

「きくちゃん」の詩に曲をつけた高浪慶太郎さん(右)とライブドローイングを行った早乙女道春さん(中央)。高浪さんのギターの飾りは平田さんにもらったものだという。

「きくちゃん」の詩に曲をつけた高浪慶太郎さん(右)とライブドローイングを行った早乙女道春さん(中央)。高浪さんのギターの飾りは平田さんにもらったものだという。

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 脳性まひで言語障がいと四肢まひを持ち、長崎市内の病院で約40年間入院生活を続けている平田喜久代さんが作った詩に長崎在住のミュージシャン・高浪慶太郎さんが作曲。1月29日、平田さんに披露した。

介護する妹の山口まゆみさん(左)

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 平田さんは2003年に気管切開して以来、人工呼吸器でかすかに声が出せる状態だが、妹の山口まゆみさんが介護をしながら詩作を続け、2012年8月に詩集「きくちゃんの詩」を出版した。平田さんが2011年1月に長崎特別支援学校に入学し、50代で小学生になったことが出版のきっかけ。当時担任だった大原万里亜さんの勧めで詩を作るようになったという。大原さんはその後、教員を辞めて布ナプキンの店を経営しているが、現在も平田さんとの交流は続いている。

 詩集は昨年4月、女優の大地真央さんがテレビ番組の中で朗読するなど全国的に反響を読んだ。大原さんは来店する人たちやフェイスブックなどに詩集を積極的に紹介。すでに交流があった高浪さんにも平田さんを紹介したところ、高浪さんが「詩に曲をつけては?」と提案。喜んだ平田さんは曲にする詩を書き下ろして高浪さんに託した。高浪さんは1984(昭和59)年に大学時代の音楽サークル仲間と「ピチカート・ファイヴ」を結成。同バンド脱退後も音楽プロデューサー・作曲家として東京で活躍していたが、2009年から長崎に帰郷して活動している。

 全日空の機内誌「翼の王国」などにイラストを提供する画家・イラストレーターの早乙女道春さんはフェイスブックを通じて大原さんと知り合い、「きくちゃんの詩を読んでみたい」という早乙女さんの求めに応じて大原さんが詩集を贈った。「素晴らしい。何から何までびっくりした」と詩集を読んで感じた早乙女さん。高浪さんとは昨年夏にCDジャケットのイラストの仕事をした経験がある。今回の曲披露の場には大原さんが早乙女さんを招待した。

 平田さんのベッドに寄り添って高浪さんが曲を披露。早乙女さんはその様子を後ろからライブドローイングした。平田さんは曲の出来栄えを聞かれ、明るく「オッケー」。それを聞いた高浪さんは「良かった。オッケーがもらえた」と笑いながら胸をなでおろした。早乙女さんが出来上がったイラストを見せると、平田さんは屈託のない笑顔で応えた。

 「平田さんの『もったいないぞ』という詩集の中の言葉に力強さを感じた。言葉にすごく説得力がある」と早乙女さん。大原さんは「すごいプロの人たちの協力で新しい作品がまもなくできる。早乙女さんの絵も含め、どういう形にまとまるか。ぜひ期待したい」と話す。

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