東山手甲十三番館(長崎市東山手町)で2月8日、デザインに関わるゲストを招いて意見交換を行う「nullデザインセッション」が開かれた。主催は「null 長崎都市・景観研究所」。
長崎の街のデザインに関する啓発活動に取組む同所。昨年1月に長崎県美術館(常磐町)で水辺の森公園の建設担当者を招いて第1回デザインセッションを開いた。2回目となる今回は、簡易宿泊所が密集する横浜市寿町をアートの力で再生するプロジェクト「KOTOBUKIクリエイティブアクション」の総合プロデューサーで横浜市職員の河本一満さんがゲスト講師。デザイナーや公務員、学生、文化関係者など20人が参加した。
寿町では従来の日雇い労働者よりも高齢者など社会的弱者の割合が急増していると指摘する河本さん。横浜市が「アートを通したまちづくり」として取組む「創造都市横浜プロジェクト」をベースにしながら、いろいろな形で文化芸術に関わるアーティストやクリエーターが同町を舞台に活動する取り組みが始まった経緯を紹介した。アートという新たな視点が持ち込まれることで地域住民とアーティストらとの協働活動が始まり、高齢化で簡易宿泊所の空室が目立ち始めた街が活動によってどのように変化していったかを説明した後、参加者らと意見交換を行った。
セッション終了後の懇親会で河本さんは「長崎は可能性に満ちあふれている。自分も長崎で何かやってみたい」と感想を話した。河本さんと一緒に唐人屋敷(館内町)から東山手まで歩いた参加者の男性は「河本さんは『江戸期の出島』『明治期の開港』『昭和初期の産業化』と3つのレイヤーを持つ街は長崎以外にないと感激していた。自分の住む街を改めて再評価してみたい」と話す。
null所長の「にわ仮面」さんは「長崎の街を知るには他の地域の取り組みも積極的に学ぶ必要がある。今回の横浜の事例はかなり参考になった。今後も積極的にこのような機会を作るので、一人でも多くの人に参加してもらいたい」と意気込む。