長崎市南部にある家族葬専門葬儀場「メモリアル布巻斎場」(長崎市布巻町、TEL 095-833-7444)で7月13日、「終活セミナー」が開かれ、老若男女合わせて25人ほどが参加した。
同斎場は昨年5月、代表で長崎県対馬市出身の御手洗千世さんが前事業者から引き継いでリニューアル開業した。24時間体制で葬儀の段取りからひつぎの運搬、霊きゅう車の運転に至るまで、全てを御手洗さんが一人で切り盛りしている。「それまで住んでいた福岡から見知らぬ長崎に出て来た開業当初、知り合いは誰もおらず仕事はトラブルが続き、後悔しながら毎日泣いていた。でも今は多くの人に支えてもらい、さまざまな事情を抱えた人から相談を受ける。ありがたい」と御手洗さん。
セミナーでは冒頭、JAL(日本航空)で政府要人の接遇スタッフなどを経験した終活カウンセラーの御手洗さんが、「なぜ終活が必要か?」についてレクチャー。エンディングノートの必要性などを説いた。第2部では相続診断士の峯富美子さんが「人生最期のお金の遺し方」と題して講演。さまざまなケースごとに過去の具体事例を引き合いに出しながら、その相続がどうなる可能性があるのかについて参加者に分かりやすく説明した。「来年から相続税の基礎控除額が現行の5,000万円から3,000万円に減額され、相続人1人当たりの控除額も1,000万円から600万円に下がる。実際に相続税を支払うことになる対象者が今の2倍以上に膨れ上がる」と話すと参加者の中から「ええ」という声が上がった。「相続が決して争族にはならないように気をつけましょう」とも。
精進弁当を用意した居酒屋Goheitaの伊藤弘和社長が「精進料理にはルールがあるということを教えてもらった。5つの色、5つの味、5つの調理法で作る決まり。本格的に勉強し、昆布とシイタケのダシで味付けした」と紹介。葬儀の形が急激に変化しており、告別式当日に初七日や四十九日、精進落としまで終わらせてしまうのが首都圏では一般的という話も飛び出した。「せちがらい世の中になりました」とポツリ。
講演終了後は希望者のみ有料で、精進弁当(1,500円)、エンディングノート(3,000円・精進弁当付き)の販売や遺影撮影(5,000円)、入棺体験(無料)などが行われた。御手洗さんは「結婚しない人が増え、意識的に子どもを持たない人も少なくない。さまざまな家族のスタイルが出てくる中で自分のこれから先を『真面目に考える』きっかけになればうれしい。今後をますます輝かせるように年齢に関係なく、誰でも今から終活を考えてほしい。いつでも相談に応じる」と呼び掛ける。