高島ふれあいセンター(長崎市高島町)で9月6日、「高島しまライブ」が開かれる。
高島は長崎港から連絡船で35分ほどの場所にある小さな有人島。同ライブを企画したのは長崎市地域おこし協力隊の隊員で高島担当の島川浩二さん。今月末、島川さんは3年間の任期満了を迎える。
長崎出身の島川さんは小中学校を長崎で過ごし、高校からは東京暮らし。10代のころ、「3年B組金八先生」の原作者・脚本家として知られる小山内美江子さんが代表を務めるNGO活動に参加した。
「カンボジアに学校を作る活動だったが、参加したことをきっかけに『今、何をすべきか。我欲を超えた本当の幸福感は何か』ということを察知する能力が年齢を重ねるごとに研ぎ澄まされてきた」と話す。
ある人の言葉をきっかけに「倍音(ばいおん)」の魅力を知った島川さんは、東京・北千住で倍音カフェバー「COSMIC SOUL」を開店。倍音楽器演奏者「シマカワコウヂ」としてモンゴルの「ホーミー」や馬頭琴、口琴などの珍しい楽器を巧みに操り、演奏者と地球を「共振させる」ような響きを生み出す。音楽活動に留まらず、2010年には出身地の長崎で被爆者を撮影した写真家の写真展や、東京・浅草で東京大空襲の体験者から話を聞く会を開いた。「特定の考えを持つわけではない。ただ事実を事実として学び、いずれ化学反応が起きれば」と説明する。
同ライブは島川さんの活動報告が15分ほど行われた後、レゲエバンド「レインボーミュージック」が演奏(約15分)。2008年に福島で結成された同バンドは、「NINI」「nonco」「PARA」「ANCHE」「DJめこり」「DJやずや」の6人で構成され、それぞれの幅広い音楽性を生かして東北や関東で主な活動を行ってきた。今年から高島に移住して九州に活動範囲を広げており、メンバーらは「レゲエを中心に世代を超えて愛される音楽を提供したい」と話す。今夏、高島発信のCDも完成した。
最後は個性的な4人のミュージシャンが演奏する「旅猫油団」が登場。ボーカルの大江友海さんのプロフィールは「詩を書き、曲を描き、うたを歌う。自然と子どもと絵が好き」とシンプル。アコーディオンを担当する梅野絵里さんは東京音楽大学を卒業し、同大学で作曲専攻非常勤助手も務める。在学中からキーボード奏者として多くのコンサートやライブに出演しながら舞台音楽の制作をはじめ、作曲家、アレンジャーとしても活動する。「音楽と喫茶とおしゃべりがあれば幸せ」とほほ笑む。
ベース担当の西村直樹さんは17歳からベースを弾き始め、さまざまなスタイルのバンドで腕を磨いてきた。同バンドのほか、「NaoNaho」やバイオリニスト柴田奈穂さんとの「LAST TANGO」、ジャズファンク「ファイヤーセッション」など、さまざまな音楽活動を展開している。
岩原大輔さんの担当はパーカッション。学生時代から打楽器奏者として演奏活動を開始し、1994(平成6)年に世界的なジャンベ奏者のMAMADY KEIYAさんと出会ってベルギーに滞在。当時、積極的に欧米やアフリカの音楽家との交流を深めていったという。1997年には西アフリカのマリ共和国で「マリ国立舞踊団」の門下として迎えられる。その後、ギニア共和国で現地のグループとともにさまざまな舞台を務めた。2001年から拠点を日本に移し、東京国際映画祭での舞台出演をはじめジャンベワークショップの主催など多方面で活躍している。
「旅と音楽と猫をキーワードに世界中に愛を振り撒きたい」と、梅野さん、西村さん、岩原さんが意気投合して同バンドを結成。昨年から大江さんが新たに参加し、メンバーらは「命の歓びを歌い上げる無国籍ミュージック」と話す。演奏時間はおよそ45分。
島川さんは「西村さんは今年2回目、岩原さんは今回で3度目の『高島しまライブ』出演。ぜひ、彼らが運んでくる『風』を感じに来てほしい。音で踊らせるエキスパート、心が踊る愛情がたっぷり詰まった『生きた音楽』を楽しんで」と来場を呼び掛ける。
開演は15時(開場14時45分)。入場無料。