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第3回推薦編「会社役員 安達栄太さん」

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小さい頃はどんなお子さんでしたか?

ごくありふれた、夕方暗くなるまで近所の原っぱを走り回るような子どもでした。小学校2年生から卒業するまで5年間、近所の剣道場に通って、中学から高校にかけてはずっとバレーボールをやっていました。その後どうなったかということには全く結びついていませんが(笑)。

バレーボールは何か大会など出られたのですか?

私が通った小島中学校は、当時市内でもバレーボールが一番強いチームで常に優勝か準優勝の常連でした。中学3年の一番最後の中総体の時は県の準決勝くらいまで行って全国大会まであと少しというところでした。

剣道からバレーボールに変わった理由は?

たまたま小学校6年生の時に、市内の小中学生が参加してカナダのバンクーバーで2週間ほど合宿する団体旅行に参加しました。そこで偶然出会った人が同じ校区の一つ上の先輩で小島中学校のバレー部員でした。

それで、バレー部に入れと?

そうですね(笑)。私は当時さほど背が高い方ではありませんでしたが、それなりに一生懸命頑張りました。今なら真夏のグラウンド走らせるだけでも一括りに体罰なのでしょうが、それほど苦にならない程度にしごいてもらいました。いい指導者に恵まれたなと思います。ちなみにポジションはセッターでした。

高校卒業後はどちらへ?

福岡の西南学院大学商学部に進学しました。

大学時代はどんな活動を?

山登りとヨットとスキーを始めました。

山登りとヨットとスキーって、やりすぎじゃありませんか?(笑)。

そうですか?(笑)。でも全て本格的に始めました。山登りは厳冬期と言われる冬山、特に北アルプスに年中行っていましたね。

へ~、そうですか。冬が山登りで夏がヨット?

もちろん夏山にも登りましたよ。山登りでは何度も滑落して死にかけたこともありました。ヨットはヨットで、社会人になってからも福岡時代は続けました。1998年にハワイで2年に1回開催される「ケンウッドカップ」という大会があったのですが、出場するために当時勤めていた会社に辞表を出しました。

え?辞表ですか?

学生時代からずっとヨットをやってきましたが、この大会に出場するには1カ月くらい休まないといけないんです。でも出場しないと一生後悔するからと上司に辞表を出した理由を説明しました。すると、そこまで言うなら1カ月休みをやるから行ってこいと送り出していただきました。



男前ですね(笑)。でも人生にはそんな究極の選択をしないといけない時って、確かにありますよ。その大会はいかがでした?

まあ、楽しかったですよ(笑)。ランキングというより参加すること自体に意義があるような最高レベルの大会ですからね。そこですっかりハワイの魅力に憑りつかれました。太平洋のど真ん中だから、どんなに日本で練習したと言っても風から波の大きさから全く違いますからね。

ヨットでも死にかけたことが?

ヨットではあまりないですね(笑)。スキーも大学に入ってから始めましたが、福岡の大学なので福岡の高校出身者が圧倒的に多い。当時の福岡の高校って、修学旅行でスキーに行くんですよ。

私も福岡出身なので高校の修学旅行はスキーでした(笑)。

私は長崎南高だったのですが、勉強合宿だけで修学旅行自体なかったんです。だから、この時は本当に初めてのスキー体験なんですよ。初心者から上級者まで細かくクラス分けをされるのですが、私が全く経験がないので、運動がかなり不得意だろうと一目で分かるようなグループに。しかも女子主体の一番初心者のクラスに強制的に入れられて(笑)。

女子と一緒は楽しそうですけど…。そりゃ、怒りますよね(笑)。

もう悔しくてたまらないんですよ。それからスキーを一生懸命習得しました。その結果、大学を卒業する時には北海道のニセコスキー場でインストラクターのアルバイトができる程度にまで上達しました(笑)。

相変わらず負けず嫌いですね(笑)。結構、ハマるタイプですか?

その通りです。だからゴルフだけはどんなにお誘いいただいても絶対にやらないようにしています(笑)。

分かります。そういう性格の方は絶対にゴルフをやってはいけません。抜け出せなくなりますから(笑)。基本的にスポーツマンなんですね。



どちらかというとアウトドア派ですね。社会人になってからはフルマラソンを走ったり、マウンテンバイクの耐久レースに出たり、いろんなことをやりました。スポーツは楽しいし大好きです。最近は忙しくて全くできませんが、機会があれば何かやりたいですね。

私は運動音痴なのでうらやましい(笑)。長崎にはいつ頃?

2001年ですから、もう12年程前に長崎に帰ってきました。それまでは福岡で西日本鉄道のグループ会社の西鉄エージェンシーという広告代理店に10年間勤めていました。

その頃の忘れられないエピソードはありますか?

ちょうどJリーグ元年くらいの時でしたので巷はサッカーブーム。それで自分たちも素人ばかりのサッカー部を会社の中に作りました。Jリーグに対抗して「九州Gリーグ」というのを作ったんです(笑)。

Jリーグに対抗してGリーグ(笑)?

同業他社の社員さんたちにも参加を呼び掛けました。電通さん、博報堂さん、凸版印刷さんとか6社ほどで定期的に試合や練習をやりました。

素朴な質問ですが、Gリーグの意味は?

「業界」のGです(笑)。

はははは…。面白い!いわゆる業界の同業他社さんが6社集まったら確かにGリーグですね。そのノリ、個人的に大好きです(笑)。


広告業界にいる人は基本的に面白いことをやりたがる人が多いんです。みんなで球を転がして、たまに怪我しちゃう。そんな感じで楽しんでいました。どの会社の部員もほとんどサッカーなんてやったことがないズブの素人ばかりですから。かえって盛り上がりましたね(笑)。

企画力ですね。ひょっとしたらJリーグの仕掛人もご存知でしょ?

はい(笑)。Gリーグの中に仕掛けた会社もあります(笑)。

やっぱり(笑)。長崎に帰ってからの仕事と以前の仕事との違いは?

自分としては変わっていないと思います。やっていること自体は、もちろん違いますよ。うちは商社なので、買っていただけるクライアントさんと売っていただけるメーカーさんの真ん中に存在する仕事です。広告代理店もCMをしようというクライアントさんがいて、その内容ならこの製作会社がいいだろうとか、このプロダクションがいいだろうとか、作ってもらうところと結び付けて何かを生み出してもらうのが広告代理店です。自分自身では売る物がないんですよ。それこそ頭の中のクリエイティブな世界だけが存在していて「一番いいものをコーディネートして仕入れて納める」というのが、商社も広告代理店も仕事の流れとして同じなのかなというのが自分の感覚です。

なるほど。商社もメーカーではないし広告代理店と似ているんですね。

お客さまがメーカーと直接取引すれば安いかもしれませんけど(笑)。

そうですね(笑)。

でも、それだといろいろと面倒なことがあったり、いろいろな責任の所在があいまいになることがあります。直接取引で起こりうる大変面倒な部分を引き受けさせてもらった上で、どちらにも「頼んで良かった」と喜んでもらえるのが商社なのです。ちょっとカッコ良すぎですか?(笑)。

いいえ、いいと思いますよ。「取引を通じて新しい価値を生み出す」という意気込みが見えます。ところで、ご自分がグルメに目覚めたきっかけは何かありますか?

誰でも美味しいものは食べたいでしょうから、きっかけは特にありません。社会人になってから、いわゆる「グルメ本」というのが福岡でも出回り始めました。新規開店の情報やいい店の情報というのは広告代理店という仕事事情もあって早いうちからいろいろ入ってくるんです。あまり知られていないうちに利用してみて、良かったら通うようになります。すると徐々にまわりに知られてきて一般の人が来るようになると「もう一般の人が来るようになったから、次はどこに行こうか?」と店を変えるんです。

いわゆる発掘側ですね。今回発掘された店をご紹介いただけますか?

ここから近いのですが、「SOT L’Y LAISSE(ソリレス)」さんというカジュアルフレンチの店です。

カジュアルフレンチとは楽しみですね。その店を知ったきっかけは?

行きつけのバーに行くときに工事中の店の前を通っていました。どんな店ができるのかなとずっと気になっていたんです。そのバーとソリレスさんも仲良くなって、じゃあ行ってみようかというのがきっかけですね。3年くらい前です。

フレンチというとどうしてもかしこまったイメージがありますが。

ここは全然そんなことはありません。初めての人は「アメリカン?」と思う人もいるくらい本当にカジュアルで飾らない店です。でも、それこそが本当にフランスの街角にあるカジュアルフレンチの店なんです。

私がいつもお世話になっている方ですが、フランスで何年もパティシエの修業経験をしてきた某老舗有名洋菓子店のご主人をお連れしたところ、「うわ~。懐かしい~」と、とても感激されました。ここはランチもあるのでランチにはよく行きます。ディナーも月に1回くらいはお邪魔しています。

聞いているだけで行きたくなりますね。お薦めのメニューは?

スペイン豚の肩ロースを焼いた料理があるんですが、それが美味いんです。ほかにも豚の耳をパン粉で焼いたのが美味い。B5くらいで三角形なのですが、食感は豚足のゼラチン質と同じですけどね。薄くてパン粉で焼いてあります。それと豚の血のソーセージ。これがまた、たまらなくおいしいです。

え?血のソーセージですか?

真っ赤というより真っ黒という感じ。確か500円~600円くらいです。お薦めですよ。

店にはどんな方と行かれますか?

行きつけのバーのスタッフや常連さんたちとよく行きますね。全体的に女性が多い店です。

確かに女性が好みそうですね。印象に残る店でのエピソードは?

今年かな?去年だったかな?私の誕生日が2月14日のバレンタインデーなのですが、その少し後くらいに普通に食事していたら、サプライズでケーキが出てきました。ビックリしましたが、とても嬉しかったですね。ここは男2人で切り盛りしている店なんですけど(笑)。

粋ですね(笑)。ここはどんなシチュエーションに使えそうですか?

何かの記念日とか特別な日にもいいのでしょうが、本当にそれほど肩肘張って行くような感じではないので、いつでも気軽に使えます。どういうシチュエーションでも使えると思いますよ。特に目玉なのがグラスワインが安いこと。1杯350円です。

350円は安いですね。

でしょ?オープンの時から通っていますが、長崎ではなかなか見ないメニューも楽しめます。いつも女性が多くて楽しいのですが、ちょっと肩身が狭いので特に男性に来てほしいですね(笑)。グラスワインも安く飲めますから、私とぜひお友達になりましょう(笑)。

安達常務、今日は貴重なお時間をありがとうございました。

こちらこそ楽しかったです。ありがとうございました。

スポーツをこよなく愛する安達栄太さん。「もう少ししたら、またスポーツを始めたいな」とも。にこやかな笑顔に見送られて取材班は会社を後にしました。次回の店舗編をお楽しみに。

■安達栄太さん
昭和42年長崎市生まれ。長崎南高校、西南学院大学商学部卒業
西鉄エージェンシー勤務後、2001年、安達株式会社入社
現在、常務取締役

安達株式会社(文責・長崎経済新聞編集部 田中康雄)

「長崎グルメ探訪」とは
巷ではグルメ情報が氾濫しています。ここ長崎でも例外ではありません。独りよがりや誰のためなのか分からない情報も少なくありません。

多くのグルメ情報は、その道のプロが発信します。長崎経済新聞グルメ取材班は「プロの目線と私たちの感覚にはちょっとズレがあるのでは?」と、今までのグルメ記事の常識を疑うことから出発しました。
結論は「誰からの推薦なのか?」という点。推薦人にこだわりました。

そこでプロの食通ではなく、一般の読者代表の中から推薦人になっていただき、その感覚で選んでいただいた店をご紹介します。推薦人はプロではありませんが、美味しいものにこだわりを持つ人たちです。その人たちの記事の中から「あなたの感覚に近い推薦記事」を見つける楽しみをお届けします。

人の感覚は千差万別。気に入った推薦人の行きつけの店やお気に入りの「ちょっといい店」の記事を読んでいただき、「長崎にもこんな店があるんだ」とか「前から気になっていたけど、こんな店だったんだ」と知っていただくこと。そこからあなたの「プチ贅沢」のお手伝いができれば幸いです。

毎回、読者代表の方が推薦する「お気に入りの1軒」を皆さんにご紹介します。そして次の推薦人もその方に紹介していただくというリレー形式でバトンを渡していきます。つまり推薦人リレー形式の長崎密着グルメ情報です。これから登場する店もきっと千差万別でしょう。その中から、あなたにピッタリの店がきっと見つかります。

「長崎グルメ探訪」は、あなたが探す、あなたのためのグルメ情報。

第一、第三月曜日は推薦者編、4日後の金曜日に店舗編を配信予定です。
次回6月7日(金)は店舗編「SOT L'Y LESSE(ソリレス)」をお届けします。どうぞ、お楽しみに。

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