長崎出身の歌手・上奥まいこさんが「帰郷ライブ」 福島の復興支援ライブにも初参加

左から伊藤心太郎さん、上奥まいこさん、草野よしひろさん

左から伊藤心太郎さん、上奥まいこさん、草野よしひろさん

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 長崎港・出島ワーフ(長崎市出島町)にある出島カフェ「セントアンドリュース ジガーイン」で7月20日、長崎市出身の歌手・上奥まいこさんの帰郷ライブが開かれた。

 昨年7月に同店で開かれた上奥さんの地元で初めてのワンマンライブから1年がたち、長崎のファンへの感謝を込めて開かれた同ライブ。作曲家でピアニストの伊藤心太郎さんや、ギタリストの草野よしひろさんも出演した。伊藤さんと草野さんは上奥さんとともに、主に首都圏で音楽活動を展開している。

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 伊藤さんはAKB48のヒット曲「恋するフォーチュンクッキー」の作曲者として知られており、今年5月に授与式が行われたJASRAC賞で金賞を受賞した。

 開演前、伊藤さんは長崎経済新聞の取材に対し「どこを目指すかは本人が決めること。全ては彼女の努力次第であり、私たちは彼女の努力に対して最大限のサポートをする応援団」と説明。草野さんは「上奥ファンは情に厚い人が多い。曲のアレンジなどで皆さんのプロジェクトに関わったが、こちらが幸せをもらったような気持ちになった」と話した。

 19時、会場に詰め掛けたファンらが見守る中、上奥さんのデビュー曲「オレンジ色の観覧車」でライブがスタート。会場は上奥さんが上京前、毎日のように通っていた思い出の場所。「この1年間いろいろなことがあったが、とても懐かしい思い出の場所でまた歌えることに感謝している」とあいさつ。オリジナル曲やカバー曲を数曲披露した後、小・中学校時代の同級生でもあるコーラスの鈴木妙里さんが登場。上奥さんが静かなイントロに続いて「外は雨」を歌い始めると、鈴木さんとの絶妙なハーモニーに合わせ、目を閉じて口ずさむファンの姿も。同曲はファンの間ではカラオケ店で歌う人気曲の一つという。

 続いて昨年リリースした「真夏のハレーション」のギターイントロ。リズムに合わせた手拍子や口ずさむ人たちの歌声が次第に大きくなり、会場全体が合唱団のように盛り上がって第1部が終了した。休憩終了後、第2部の冒頭で再び鈴木さんを呼んだ上奥さん。6月に行ってきたブラジルツアーの話で会場が盛り上がり、爆笑の渦となった。

 上奥さんが伊藤さんにあらためて「受賞おめでとうございます」と呼び掛けると、「恋するフォーチュンクッキー」のイントロを弾き始めた伊藤さん。立ち上がって踊り出すファンや、歌い始めるファンなど、全員がリズムを取りながら思い思いに楽しんだ。終了後、「みんなやり切った感じですが、まだ第2部が始まったばかりですよ」と上奥さん。ファンらは笑いながら席に戻った。

 続いて、友人のために作った歌「新しい船」を伊藤さんがピアノの弾き語りで披露。親などからDVを受けた子どもたちのために施設を作った友人の姿に感動したことがきっかけという。「彼からは『誰のために音楽をやるのか』ということを心底教えられた」とも。その後、「10代のころからお世話になっている」と、長崎在住のミュージシャン・マンボー稲松さんを紹介した上奥さん。稲松さんはほほ笑みながら上奥さんと1曲デュエットした。

 12曲目は原爆をテーマにした「影おくり」。昨年の夏まで、長崎で同曲を歌うことを封印し続けてきたという上奥さんは、「原爆のことを知りもしない私のような者が『長崎では歌えない』という思いが強かった。怖くてどうしても歌えなかった」と当時の思いを吐露した。「長崎の先輩方から『長崎から外へ発信すべき』と励まされたことや、広島出身の方から声を掛けられたことなどが背中を押してくれた。長崎に生まれ育った私の役目として歌いたい」とも。8月8日、上奥さんは長崎県美術館(出島町)で行われる映画「長崎の鐘」「この子を残して」の無料上映会会場でも同曲を披露する。

 ライブ最後の曲「願い」について、「音楽の持つパワーが、人が生きるための一部になる場面に遭遇することができた」と紹介した上奥さん。伊藤さんから曲を受け取って作詞していた時、一冊の本に出合ったことで生まれた曲で、会場には本を書いた吉田由美さんの姿も。「ポケットの中には君との思い出が」と上奥さんに続き、多くのファンらが手拍子しながら口ずさんだ。

 終演後、あちらこちらから「もってこい(長崎弁でアンコールの意味)」の声が上がる会場。アンコール曲には上京当時の気持ちを歌った軽快な曲「風」を披露し、再び起こった「もってこい」の声に応えて、「あと少し」「さよなら・ありがとう・ごめんね」を熱唱。目を閉じ、涙を流しながら口ずさむファンの姿があちらこちらに見られ、およそ2時間40分におよんだライブは大きな拍手とともに幕を閉じた。

 埼玉からライブのために駆け付けた畑野富雄さん(64)は、「初めて聞いた曲は知人に教えてもらったオレンジ色の観覧車。情景がありありと目に浮かび、2年前に初めて長崎に来た。昨年も参加したので長崎は3回目」と話した。上奥さんは「温かく迎えてくださる方たちがいて、本当に幸せ。皆さんの笑顔がまた見られるように頑張ります」とほほ笑む。

 上奥さんは伊藤心太郎さんや長崎出身の歌手・松尾貴臣さんらとともに7月25日、先輩歌手の川田金太郎さん(雲仙市在住)が福島県須賀川市で毎年開催している「長崎・須賀川~絆~コンサート」に参加した。「念願の初参加。応援に行ったのに、逆に地元の人たちに応援された。皆さんの笑顔に会うために、また須賀川へ行きます」と力を込めた。

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