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長崎のカフェで「パッションランチ講習会」 パスタやデザート楽しみながら勉強

パッションランチ講習会の様子

パッションランチ講習会の様子

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 大型商業施設「みらい長崎ココウォーク」前にあるグリーンカフェ・H2O(長崎市目覚町、TEL 095-801-5828)で9月7日、パッションフルーツを使ったランチを食べながら学ぶ「パッションランチ講習会」が開かれた。

スムージー(左)とゼリー

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 パッションフルーツは、めしべの形が時計の長針・短針・秒針のように見えることから名付けられた「トケイソウ科」の仲間。南米を中心に分布する多年草で、完全無農薬栽培で最大4年間にわたり実を収穫することができる。名称はトケイソウを英語で「パッションフラワー」と呼ぶことに由来する。実の内部には小さく硬い種が多く含まれ、果肉は黄色いゼリー状で果汁が多い。

 講習会は「パッションフルーツ友の会」の会員など、男女6人が受講。6年前からパッションフルーツの栽培に取り組む鈴田峠農園(大村市)の當麻(とうま)謙二社長が講師を務め、スライドを見せながら講義した。

 當麻さんは「講習会だが、勉強より楽しんでもらいたい。せっかく料理が用意されているので、まずは食べてください」とあいさつ。パスタソースにパッションフルーツを使った冷製パスタや同じく焼きたてのピザ、パッションフルーツのジュースなど、テーブルの上に「パッションランチ」が並ぶたびに「うわ~」という声が聞こえ、受講生らは「おいしい」と笑顔を見せながら食事を楽しんだ。

 「最初は、ひょうたんで緑のカーテンを作っていた」當麻さん。ゴーヤなども手掛けたが害虫に弱く、ほかにも栽培に多くの課題を抱えていた。「6年ほど前のある日、協力農家の人が『これだけで成長するらしいから植えてみようか』とパッションフルーツの枝を1本だけもらってきた」と振り返る。当時は農家でさえパッションフルーツを知る人は少なかったという。

 「どうなるか分からないが、水だけは欠かさないように」と花壇に植えた枝は、みるみる成長して3カ月ほどで緑のカーテンに。「これはすごい」と感動しながらも、葉だけに注目して緑のカーテンを育てていた當麻さんは、訪れた客から「パッションフルーツの実がなっている」と知らされた。口コミで来客が増えるころ、1本の枝から始まった実は数えられた分だけでも300個を超えた。當麻さんは「これはビジネスになる」と確かな手応えを感じたという。

 その後、「肥料の選び方」「栽培上の注意点」「完全無農薬で栽培できる理由」「横に成長させる方法」「ビジネスとしてのパッションフルーツ栽培の可能性」など時々実演を交えながら農業のプロならではのノウハウを紹介した。受講生からは「室内で効果的に栽培するにはどうすればいいのか」「寒い場所での注意点は」「町おこしに活用できないか」など、活発な質問が飛び交った。

 「女性が喜ぶ情報」と前置きして、パッションフルーツについてさまざまな研究が行われていることを紹介した當麻さんは、自身も大手企業から共同開発のオファーを受けたり、関係省庁に呼ばれて緑のカーテンによる緑化対策の説明をするため上京したりしたことを明かした。その後、あじさい菓房(諫早市多良見町)の保坂悠司常務があいさつに立ち、「菓子メーカーとしてパッションフルーツに注目している」と話した。

 受講した男性は「面白かった。居酒屋を経営しているので、つまみなどに応用できそう」とほほ笑む。當麻さんは「人数はわずか6人だったが、全員が大きな可能性を感じたと思う。パッションフルーツはまだまだ知られていないが、情報を知ると多くの人が『すごい』と言う。これからも今回のような取り組みを続けたい。東京オリンピックで、長崎から広がったパッションフルーツの緑のカーテンが活躍するのも決して夢ではない」と意気込む。

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