子どもの活動支援団体「ながさkids」(長崎市つつじが丘)に所属する3歳から小学1年生の女児3人が11月22日、団体事務所とロシアのモスクワ市、徳島県鳴門市の3地点をインターネットで結んで子ども同士の交流を楽しんだ。
同団体代表の大江由紀さんが徳島県鳴門市で子どもの国際交流活動を行っている木谷奉子さんからの提案を受け、コミュニケーションアプリ「スカイプ」を使って行われた交流会。木谷さんは国際補助語「エスペラント」を使って子どもたちに国際交流の楽しさを教えており、友人でモスクワ在住の中学校教諭・アレクセイさんの協力を得て実現した。
エスペラントは1887年、ロシア帝国領ビアウィストック(現ポーランド国内)在住のユダヤ人眼科医・ザメンホフが発表した人工言語。第二次世界大戦など戦争の時代には、日本をはじめ各国のエスペランチスト(エスペラントを話す人)がスパイ容疑などで弾圧された歴史がある。現在では母語が異なる人びとの間での意思疎通を目的とする国際補助語として認知されており、エスペラントという単語は「希望を持つ人」という意味を持つ。
パソコン画面にはモスクワ市と鳴門市からの映像が同時に映し出され、長崎側の補佐役として「長崎エスペラント会」(1922年発足)の盛脇保昌さんが参加。モスクワからはアレクセイさんの教え子でロシア人の中学生たち、鳴門市からは10歳の女児が参加した。
子どもたちが画面越しに「サルートン(こんにちは)」と元気にあいさつしてスタート。エスペラントで自己紹介を交わした後、ロシアの子どもたちが特技や趣味の紹介を始めた。女子生徒は「日本のアニメを描くのが大好き」と話し、自身が描いたアニメ画を披露。ほかにもバイオリン演奏をしたり歌ったりする生徒が現れ、アレクセイさんもギター演奏などを披露して盛り上がった。
長崎の子どもたちは「お母さんの似顔絵」や人形の絵を、鳴門の女児も自身が描いた絵を見せ合い、参加者全員に笑顔が広がった。日本の子どもたちは盛脇さんや木谷さんからエスペラントのサポートを受けながら、ロシアの子どもたちとの国際交流を楽しんだ。
最後にお菓子を披露した子どもたち。日本の子どもたちが「うまい棒」など日本独自のお菓子を見せると、ロシアの子どもたちは興味津々。中にはスマートフォンを取り出して画面越しに写真を撮る子も。ロシアの子どもたちは「僕たちも日本のお菓子を食べているよ」と、ミルキーやグリコなど日本から広がったお菓子を紹介。日本の子どもたちから歓声が上がった。
次回、12月20日の再会を約束した子どもたちは、「ジス、レビード(さようなら)」と元気にあいさつ。およそ1時間の交流会を和気あいあいムードで締めくくった。
大江さんは「交流会では、子どもたちに相手を思いやる気持ちがあふれていたと思う。言葉や文化の壁を越えて相互理解できる友をたくさん持つことは、子どもたちにとってもかけがえのない財産になる。次回はクリスマス前でもあり、もっと楽しく大きな企画で子どもたちを盛り上げたい」と意気込む。