長崎・淵神社の被爆クスノキを筑波大・東京農大グループが3Dレーザー測量

測量準備中の東京農大グループ

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 淵神社(長崎市淵町)で2月23日から、筑波大学と東京農業大学のグループが同神社境内にある「被爆クスノキ」の測量調査を行っている。

被爆クスノキ

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 3Dレーザースキャナーを使い、被爆樹木の傾きを測る同調査。昨年9月、筑波大学の鈴木雅和教授(環境デザイン学、農学博士)が被爆樹木調査のため同神社を訪れたことをきっかけに、東京農業大学地域環境科学部造園科学科の國井洋一准教授のグループと共同で行う。

 鈴木教授によると、筑波大グループが2013年9月、広島市内でクスノキ、イチョウなど「1本の幹から成長した樹木」56本のうち、地上部が原爆で焼失した樹木や被爆後に移植された樹木を除く29本を分析した所、79%に当たる23本が爆心地方向に傾斜していることを発見した。

 広島市では現在、55カ所の約170本を「被爆樹木」として認定している。鈴木教授らは2013年、国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所が広島平和記念資料館(広島市中区)で開催した公開セッションで調査結果を発表した。

 東京農大造園科学科の研究グループは昨年8月、広島城公園内のクロガネモチと広島縮景園内のイチョウを対象に地上型3Dレーザースキャナーによる被爆樹木の実測調査を行った。同スキャナーは三脚上で360度、自動回転しながら1秒間に8000発のレーザー照射を行い物体の位置データを収集する。

 樹木の周囲に10カ所ほど観測点を設け、それぞれの観測点ごとに機材を移動して行った同調査では、1カ所あたりの測量時間は30分ほど。被爆樹木を1本測量するために5時間以上を要するという。

 得られた点群データから樹形を把握するために幹のデータだけを抽出。さらに高さ30センチごとの点群データを抽出し、それぞれの横断面図を作成した上で、各断面図の重心を結んだ「主軸曲線」の傾きを調査したが、樹木の上部に葉が繁茂しているため、幹だけを正確に抽出できなかった。作成した横断面図は、クロガネモチは地上から3.9メートル、イチョウは1.8メートル部分までにとどまった。調査結果は、クロガネモチの傾きは87度6分、イチョウは54度44分。

 下條一仁宮司は「当神社は爆心地から1.7キロの距離にあり、神さまを守らねばならなかった祖父らは疎開ができず被爆したと聞いている。小学生だった父や祖母らは全員崩壊した社務所の下敷きになり、祖父は木の枝が頬を貫通する重傷を負いながらも、ご神体を裏山に隠した。奇跡的に誰一人として命を落とさなかったのも偶然ではないと思う。調査に至った今回のご縁を通じて、大切なご神木からのメッセージを何か感じてもらえれば」と話す。

 鈴木教授は「広島の被爆樹木はこれまでの調査で爆心地に向かって傾斜していることが判明している。長崎でも同じ現象が起こっているのか、3Dデータ測量を通じて調査することが目的」と説明する。國井准教授らは測量準備を終えると手水所(ちょうずどころ)で身を清め、本殿に参拝。調査中の無事を祈願して作業を開始した。

 同調査は2月24日まで行う予定という。

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