出島表門橋架橋工事現場(長崎市江戸町)で1月28日、一般初公開となる大島造船所(西海市)構内にある橋梁(きょうりょう)部製作現場の見学バスツアーが行われた。
長崎市は1951(昭和26)年から出島の復元整備事業に着手し、100年計画で2050年の出島完全復元を目指している。敷地内にあった建物のうち、すでに16棟は復元されており、出島表門橋架橋プロジェクトでは大島造船所で製作中の全長約38メートルにおよぶ橋梁部を海路で長崎港に運び、大型クレーンを使って一気に架橋するイベントを2月末に予定している。
2017年度中の完成を目指し、当時と同じように橋を渡って県庁がある江戸町側から出島に入場できるようにすることで、明治期に埋め立てられた現在の出島から、海に浮かんでいた19世紀初頭のイメージが実感できるようにする。
現場見学ツアーには長崎県内だけでなく山形県からの参加者をはじめ、東京や神奈川、大阪、高知、九州各県など全国各地から多くの人たちが応募したため、当初予定していた定員を上回る約60人まで参加者を拡大。橋梁や建築関係の技術者や大学生などが多く、中にはドイツ人留学生や工場見学マニア、漫画家、雑誌ライターやマスコミ関係者が個人的に参加するなど、男女とも幅広い年齢や職業の人たちが集まった。
大島造船所へ移動する車中で参加者たちは、順番に自己紹介を行うなど和やかな雰囲気の中、1時間20分ほどで大島造船所に到着した。構内の食堂で昼食の「造船所カレー」を食べた参加者らは、同所の紹介ビデオを鑑賞し、「出島表門橋以外は構内撮影禁止」などの注意事項に耳を傾けた。その後、参加者らは徐行するバスの車中から約1時間にわたり構内を見学した。
塗装作業を残すのみとなった製作中の出島表門橋は建屋内に橋梁部が展示され、バスから下車した参加者らは興奮気味に近づき、一眼レフカメラやスマホなどで熱心に撮影したり、設計を担当した渡邉竜一さんに質問したりしていた。最後は参加者全員で記念撮影を行い、再び出島に向かう帰路についた。
渡邉さんはツアー終了後、「貴重な体験ができたと思う。2月末に予定する架橋イベントも歴史的な瞬間に立ち会うことになる。間もなく長崎市から内容が発表されるので、ぜひ多くの人に見届けてもらいたい」と呼び掛ける。架橋されると約130年ぶりに出島表門橋が復活することになる。