長崎・淵神社で海上自衛官が清掃ボランティア

鳥居を清掃する海上自衛官たち

鳥居を清掃する海上自衛官たち

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 淵神社(長崎市淵町)で12月22日、海上自衛隊の護衛艦「あさひ」のぎ装員が清掃ボランティアを行った。

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 三菱重工業長崎造船所で現在建造中の護衛艦「あさひ」は、来年春に進水を予定している。ぎ装員とは艦船工事が予定通りに進んでいるか確認したり、装備品のチェックをしたりすることを主な任務とする自衛官。進水後は乗組員になる場合が多いという。

 同神社宮司の下條一仁さんによると、三菱重工業を創業した岩崎弥太郎が三菱の安全祈願を同神社で毎年行っていたことから、現在でも三菱グループの企業がその意思を受け継いでいるという。

 下條さんは「あさひ」ぎ装員による清掃ボランティアのきっかけについて、「旧日本海軍の永野修身(おさみ)海軍大将が参拝された記念の鳥居があり、海上自衛隊の方から『永野大将ゆかりの鳥居の清掃活動を行いたい』と申し出があった」と話す。

 永野修身は1880(明治13)年、高知県生まれ。1898(明治31)年に海軍兵学校に入学し、4年後に海軍少尉に任官。海軍三長官(連合艦隊司令長官、海軍大臣、軍令部総長の3つの役職)全てに就任した唯一の人物として知られる。

 ぎ装員たちはこの日、8時に同神社本殿前に集まり参拝後、鳥居にはしごを掛け、約2時間かけて鳥居の汚れを丁寧に落とした。

 今回の清掃で、鳥居には「昭和12年11月敬建」の文字が彫られており、同神社に納められていた社号額(永野自身が揮毫(きごう)したもの。原爆で焼失)の文字が鳥居に彫られている社号と一致することも保管されている社号額の写真から新たに分かった。

 下條さんは「今回の清掃によって当時の宮司であった祖父の名前が鳥居に刻まれているのが発見できてうれしい。永野大将との時代を超えたご縁に感謝するとともに、当時の人の思いを大切にしながら今ある平和を伝えていきたい」とほほ笑む。

 参加した自衛官の一人は「とても神聖な気持ちになれた。今日の経験を心のよりどころとして今後の任務に就きたい」と話す。

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