長崎の眼鏡橋周辺の中島川で3月18日、アシ船乗船会が行われた。
アシ船は長崎市在住の探検家でアシ船航海士の石川仁さんが乗船会の前日、近くにある諏訪小学校(長崎市諏訪町)で小学生の親子約20人に製作指導しながら完成にこぎ着けたもの。
10時30分、眼鏡橋前広場に多くの観衆が集まる中、石川さんがさまざまな神様に祈りをささげる進水式を行った。全長約5メートル、重さ100キロを超える船体は、眼鏡橋横の石段を水面までゆっくりと下ろされた。
最初に乗船したのはライフジャケットを装備した和装姿の田上富久市長。後方に石川さんが乗船し、大きな櫂(かい)を操作しながら眼鏡橋周辺を遊覧すると、集まった人たちが写真を撮ったり、田上市長に声を掛けながら手を振ったりした。その後、製作に携わった親子を中心にたくさんの人が乗船体験をした。
14時過ぎ、水を吸って重くなったアシ船を、樺島町「コッコデショ」の担ぎ手メンバーが担ぎ上げて下流にある堰(せき)の下まで移動した。「コッコデショ」は約380年続く諏訪神社の例大祭「長崎くんち」の出し物。出島まで航行する大原真鈴(まりん)さん、橋本穣(ゆたか)さんを抱きかかえて乗船させた後、石川さんを川の中央にある船までおぶって乗船した。
14時40分ごろ、石川さんたち3人が乗ったアシ船が、出島に向けてゆっくりと進み始めると、橋の上や川沿いの歩道に集まった人たちから大きな拍手が起こった。鉄橋付近を航行する際はバス停に居合わせた人たちや鉄橋の通行人たちがスマホでアシ船の写真を撮ったり、手を振ったりした。その後、昨年11月に開通したばかりの出島表門橋をくぐり、出島ワーフ横から長崎港に入港して約1時間の船旅が終わった。
出島ワーフで行われた閉会式で橋本さんは「貴重な体験だった。この楽しさをみんなに伝えたい」とあいさつ。大原さんは「江戸時代にタイムスリップしたような気分で楽しむことができた」と笑顔を見せる。