小中高生向けの学習塾「個別教育クラーク」(長崎市葉山)が、2021年に始まる「大学入学共通テスト」に向けた新たなアクティブラーニング講座を4月26日に開始した。
アクティブラーニングは、生徒が受け身ではなく、グループディスカッションやワークショップを通じて能動的に学べる授業で、今回クラークが導入したのは神奈川県教育委員会も採用している新プログラム「ProgressTime(プログレスタイム)」。正解のない問いを探求することにより、主体的な人材を育てるという。
クラークは90人の塾生が学ぶ定員制個別塾。今回の講座は、高校2年生と中学2年生が対象で16人が参加している。
講座では心理学をベースとしたテストを行い、参加者を9つのタイプに分類し、自分のタイプと感想を発表した後、そこで得た気付きを基に学習目標、態度目標を決めて発表し合う。
参加した塾生は「恥ずかしかった」「思い通りに話せなかった」などの感想を漏らす。
塾長の山本涼太郎さんは高校卒業後、オーストラリアのシドニーに移住し7年を過ごした経験を持つ。家庭の事情により帰国し大手学習塾に勤務したが、7年前と変わらず先生が一方的に教える日本の教育現場に驚いたという。
「海外は教育システムが時代に合わせて変わっていくが、日本は時代に対応していない。そのためか、日本は受け身の子どもが多く精神年齢が幼く感じた」と山本さん。
「このままでは世界に取り残されてしまう」と危機を感じ、新しい塾を作ることを決意。基本理念に「チャレンジ」を掲げ、2010年に個別教育クラークを設立し、2014年には法人化した。
2年前からアクティブラーニングを取り入れ、主体性を育て、気付きを得られる要素を組み込んできた。情報を集めるうちに「tyotto(チョット)」が提供する「プログレスタイム」に出合い、塾講師への研修を経て、新たなアクティブラーニング講座へと改善した。
山本さんは「アクティブラーニングは、まず場作りが大事。子どもは最初発言したがらないが、回数を重ねていくと発言するようになり、積極性が増し学びが加速していく」と話す。
塾で講師として働く長崎大学教育学部4年生の後藤真由子さんは「アクティブラーニングに関しては大学でも教えられ、取り組んでいるが、実際の現場で感じる経験は貴重。例えば教える時に塾生が間違えたら、つい『違う』と言いそうになってしまう。そうすると、その子は以後発言しづらくなり、主体性が育たなくなる。塾生が自分で気付くように質問の仕方を工夫しているが、難しい。ここで学び、学校の現場でも生かしていきたい」と笑顔で話す。
山本さんは「塾なので、成績アップや志望校への合格という結果には当然こだわる。同時に、子どもたちには主体的に自分の限界にチャレンジする姿勢を身に付け、人として成長してほしい。自分は長崎から日本の教育を変えていくつもりで日々取り組んでいる。アクティブラーニングもその一環。今後も保護者と一緒に子どもをサポートしていきたい」と力を込める。