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長崎の大学生が制作 音も聞けるフリーペーパー「ながさき平和の音の風景」

金村准教授(中央)と金村ゼミの学生

金村准教授(中央)と金村ゼミの学生

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 長崎県立大学シーボルト校(長崎県西彼杵郡長与町)の学生8人が制作した、音も聞けるフリーペーパー「ながさき平和の音の風景」をより多くの人に知ってもらいたいと、同誌が現在、設置場所を募集している。

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 フリーペーパーは、同大学国際情報学研究室情報メディア学科・金村公一准教授のゼミ生が今年2月に発行したもので、長崎市で平和の大切さを身近に感じることができる場所や風景を取材、制作したもの。

 同ゼミでは毎年3年生がさまざまなメディア制作を行っており、同准教授は学生主体で自由な制作活動ができるよう後押ししている。今回は「これまで先輩が築いてきた研究成果も引き継ぎつつ、新たな挑戦としてまだ取り組んだことがない『紙媒体と音声データの活用』にチャレンジしてみてはどうか」とアドバイス。学生たちがすぐ反応し、音も聞けるフリーペーパー作成に着手した。

 企画の段階で、学生が取材をしてみたい内容を持ち寄り意見交換。その中から最終的に10件まで絞り込み、さらに「被爆者の声」「平和を伝える声」「現在の長崎にあふれる音」にジャンルを分け、過去から現在への長崎の平和の継承を分かりやすく感じてもらうことができるように工夫した。

 学生たちは一つの取材先に対し3人のチームを組み、「文章」「写真」「音源」の役割分担を決めた。掲載に関わる権利の許諾申請もすべて学生たちで行った。

 今回の制作の特性である「音源」に関しては、日本音楽著作権協会などへの申請も必要となり、手続きの流れや許諾までに要する時間など学生たちには未知のことばかりで戸惑いの連続だったという。

 被爆した小学校、長崎市立山里小学校(長崎市橋口町)の卒業生、稲田菜那さん(同大学4年生)は、母校への取材を通じて改めて平和学習の重要性を感じたという。「小学校の敷地内に被爆遺構などもあり、在学中から平和に対する意識は自然と身に付いていた。今回、6年生の児童にインタビューしたが、マイクを向けてすぐに児童それぞれが平和への思いを言葉にできることにとても感動した。日頃からの平和教育が根付いているからだと思った。私が在学していた頃と同じように、今も平和に対する気持ちが継承されていると思うととてもうれしかった」と稲田さん。

 金村准教授は「フリーペーパーの完成だけが目的ではなく、完成するまでの経緯も含めて学生たちにはさまざまなことを学んでほしいと思っていた。それぞれの個性を生かしてチームでやり遂げていく過程は、社会に出てからも必ず役に立つと思う」と話す。

 フリーペーパーは、A5サイズ8ページで、一つの記事に対して、インタビューの文章と、記事に関連した音や声を聞くことができるQRコードがセットになっている。「文章で掲載された内容と、QRコードを読み込んで聞くことができる音源は、同じ内容ではない。目と耳の両方で楽しんでほしい」とゼミの学生たちは口をそろえる。

 現在「ながさき平和の音と風景」は、長崎市役所(長崎市桜町)をはじめ、同大学や長崎市内の一部大学短大、及び取材先である長崎市立山里小学校、長崎市立城山小学校(長崎市城山町)などに設置しているが、さらに多くの設置場所を募集している。

 問い合わせは金村准教授(メールアドレス kanamura5office@gmail.com)まで。

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